3年間を返せ!
「この3年間を返せ!って云いたい心境ですよ!」
先日70歳代の人間ドック受診者の男性が、そう云いました。これはコロナ禍のことを指しているのだということがすぐにわかりました。本当にこの3年間は過ぎ去るのが速かった。あの殺人ウイルスが凄い勢いで襲ってきて著名人やら身近な人やらがどんどん命を落としていった、あの光景ははるか昔の出来事のように感じていますが、その後の3年間、季節の変化も感じることなく、すべての行事がことごとく消えてなくなり、毎日が同じような日々の繰り返しで、何があったのかあまり思い出せないままに、気づけば3年以上が過ぎ去ってしまいました。その間にオリンピックもサッカーW杯もあったのに何となく全てが夢の中。
3年前に入学して今年卒業する学生たちには本当に何だったのかわからない3年間だったことでしょう。青春時代の大事な3年間が全て奪われた心境でしょう。でも、彼らにはこれからの未来があります。この3年間も貴重な体験として将来の語り種になるだけのことでしょう。同窓会で集まるたびに特殊な経験だったからこそ話題に事欠かないに違いありません。でも、年寄りは違います。わたしもそうですが、完全に3年間が人生から削除されてしまいました。単なる削除なら良いけれど、ちゃんと三歳分だけ確実に歳をとり、明らかに老いてしまいました。この3年間で返って若返った!という人が居るなら会ってみたいものだ! だから、くだんの男性の言葉を聞きながら「その通りだ!」と心の中で相槌を打ちました。年老いてからの3年は若い頃の3年など比較にならないほど取り返しの付かないような貴重な時間なのですから、失った時間の大きさにため息が出ます。「今から取り戻さなけりゃ」と彼は云ってましたが、わたしにはもうそんな気力は生まれてきません。最近の3年が完全に消えてしまったがために、『10年』が異常に短く感じています。東日本大震災からもう12年だそうですし、熊本地震からもうすぐ7年です。妻の手術から5年。何もかもがついこないだだった気分になってしまうのは、やはり3年間が抜き取られてしまったからなのでしょうか。
まあ、この歳になってグチっても何も得ることはありませんから、そろそろ冬眠から起き出してみましょうか。もうすぐ新年度ですし。
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