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2023年6月

聖路加

『恥ずかしながら、私、今まで「せいろか国際病院」って呼んでましたが、それは間違いで、正しくは「せいるか国際病院」だったのですね。今日、読んだ池上彰さん著「聖書がわかれば世界が見える」という本に書いてました。なんとなく、キリスト系病院とは思ってましたが。新約聖書の冒頭の4つ福音書のひとつに、ルカの福音書があり、そのルカという人物がパウロの弟子で医師だったことから、ルカの名を冠した病院がキリスト社会には多数あり、聖路加国際病院もそのひとつだと、本で解説してました』

少し前に届いた医師用のチャット系の記事にこういう内容の投稿がありました。「そうなんだってよ」と妻に読み上げてあげたら「ああ、そうよ。知らなかったの?」と返答されました。そういえば、彼女はキリスト教系の高校出身だったね。「うちは仏教徒だから聖ルカとかよう知らんかった」と答えたら、「それ、全然関係ないでしょ」と笑われました。

ま、何にせよ、一応ちょっと賢くなりました。もっとも、東京で働いていた時でも『聖路加』は誰もが「せいろか」と読んでいましたし、学会でも座長も本人も「せいろか国際病院の〇〇医師」と発音していた気がします。いいんですよ、真実を知っているだけで。別に、実社会はそんなこととは関係なく進んでいくものなのですから。それによって病院の本質も理念もなんら変わるものではないのですから。

 

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マスクの奥

新型コロナの5類移行以降、公の場でマスクを外す機会は格段に増えたものと思います。わたしは仕事柄、一般の方よりはマスクを外さないことも多々ありますが、多くの人もまだ人が集まるホールやショッピングセンターなどでは老若男女を問わず自主的にマスクを付けています。まあ、現時点での基本的なエチケットというところでしょうか。

そんな中、先日久しぶりに会った旧知の友人がちょっとした事でマスクを外したのですが、その口元を見てギョッとしました。「こんな年寄りだったっけ?」と。また、先日外勤先でいつもお会いしている保健師さんがちょうど昼食を取っておられたので久しぶりにマスクを取った顔を拝見しましたが、「あれ、こんなに口元にシワがあったっけ?」とついそんな失礼なことを思って二度見してしまいました。

マスク越しの3年間は意外に長かったことを痛感します。日ごろからマスクを外して会っている自分の家族や親しい友人ではそれほどのギャップを感じることはありません。あるいは若い世代の人でもおそらくマスクの下の顔は3年前とさほど変わってはいないでしょう。でも、ある程度の年齢以上の人たちは、思っている以上に歳を取ってしまっています。自分が頭の中にインプットしている顔の表情が、3年前からアップデートされていないのです。多分、わたしの顔も久しぶりに会う人が見たら思いの外に爺さんになっているのかもしれません。時間は罪作りです。だからわたしは意図的にSNSでノーマスクの笑い顔の写真をアップするようにしてきましたが、そういえば最近は自分の写真をあまり撮っていないことに気づきました。ちょっと止まってしまっていた時計を早回しして現実に合わせ直しておかないといけませんね。

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ワンズのおかげ?

「やはり、一日一回でも外の空気に触れること大事だよね。こんなに毎日きちんと散歩するのもすべてこの犬たちのおかげだよ」

雨が上がった合間の時間を縫ってワンズの夕散歩をしながら、妻がつぶやきました。

「この子たちが居なかったら、たぶんわたしは家の中にこもって外になんか出ないと思う」「そんなこと云わないで、犬がいなくても散歩したらいいだけのことやん」「イヤよ。絶対にイヤ。ただ歩くだけの何が楽しいのか全然理解できない。あなたが、雨の日に傘さしてまで小一時間も独りで散歩している意味がわからない」と吐き捨てられました。

わたしの場合の歩く楽しみは、思索の時間を満喫できるからということと、運動のノルマをきちんとこなした自己満足とでしょうか。歩きながら語らい合う時間が楽しいという人もいます。「なんなら、わたしが一緒に歩いてあげてもいいよ」と云いかけてやめました。少なくともチビはまだ2歳半だから当分散歩はするでしょうから(もう一方の老犬の方はもうすぐ15歳だからいつまで歩けるか分かりませんが)、説得にはまだまだ猶予があります。

隣の貸家に住む義母(満89歳)も毎日朝晩トイプードルの散歩に出かけています。「おかあさんは面倒くさがりだから、散歩しなければならない理由がなくなったら絶対家から一歩も出ないと思うよ」ということで先住犬のチワワが老衰で亡くなった後に今のトイプードルを預けているのですが、「私はお母さんの性格がちゃんとわかるから」という妻の方がよほど出不精なのだと最近になってやっとわかった次第です。

「人間に『運動欲』という欲望が存在しないので、しなければならないことがなければ絶対しない!」ということを運動指導士のMさんに教わってからもうかれこれ20年くらい経ちます。運動欲がないくせに運動しないと必ず心身ともに衰えて滅びていってしまうのが動物の宿命なのだと。だからせざるを得ないことを作り出してでもし続けることが大切なのだと、そう教わりました。わたしがまあまあこの歳まで健康体でいられたのは、少なからずこの多動児的な性格が奏功しているともいえると思っております。

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何故だか治った?

今週に入って、急に体調変化がありました。あれだけ悩まされていた右の首〜肩腕の痛みが突然消えました。普通に左側を振り返ることもできます。夢のようです。頚椎症や頚椎ヘルニアや腱板断裂の後遺症だと思っていたら、長年の右肩周辺の筋肉の内旋負荷のために筋肉や神経が過緊張しているのだと云われてリハビリやストレッチ運動を始めたのが今年の初めで、お金がかかるのでリハビリ施設はチケットが切れたところで通うのを止めて地道に自分で外旋させるストレチ運動を続けてきたけれど、ストレッチした時だけ奏功するけれどちょっと座り仕事したり、座席に座ってくつろいだりしていると突然筋肉が固まって恐ろしいほどの痛みが襲ってくるのです。もう持病だからやむを得まいと諦めていたところでした。

それが突然消えたのです。まるでどうもない。いつも右を下にして寝ないと大変なことになる(上向や左向きでちょっと横になろうものなら首の周りの筋肉が完全に固まって地獄のような痛みに襲われるのです)のに、どこを向いても安眠できる。そんなことって、半年以上ぶり。何がわたしのからだに起きたのでしょうか。毎日地道にストレッチ運動をこなしているから? そういえば地道な外旋運動のおかげか猫背の歩き姿が少し良くなった気もするし、などと自褒めをしてみるけれど、多分そんな簡単なものではない気がします。今週の日曜日の朝に、オンラインで参加している妻のヨガにこっそり横入りした成果?とか云ってはみるけれど、あんないい加減な参加を一回したくらいで良くなるほど柔な筋肉ではなかったことはわたし自身が分かっています。

まあ、理由はわからないから、そのうちまた再燃するだろうけれど、久々のスッキリ感をできる限り満喫しておきたいと思っているところです。

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アフターコロナと云われながら

新型コロナの5類移行から1ヶ月半。別にウイルスの感染力や数は何も変わってないのだし、今再び第9波に入っていると専門家が訴えてみても、もはや世間はどんどんアフターコロナの様相で、その流れは止めようがない雰囲気です。病院は別として、飲食店のテーブル上のアクリル板はさっさと撤去され、スーパーレジも多くの店で仕切りなしになっています。それはまあそっちの方が利便性がいい(今までジャマでしょうがなかった)と思いますが、そのためにわたしたちの心がどんどん緩くなっています。若い子たちを中心にあちこちで学校単位でクラスターが発生していますし、沖縄ではほぼ医療逼迫の危機に堕ちっているとテレビで訴えていますが、世間はもはや他人事のようです。

マスクはまだ人が密集する場やスーパーなどでは付けている人の方が多い気はしますが、顎マスクの人が増えました。鼻マスクも少なくない。ほとんどマスクの意味がないし、むしろかえって不潔かもしれません。わたしは仕事上マスクをする時間の方が長いのですが、最近階段登りがかなり息苦しくなてきました。歳もあるのかもしれませんが「マスクをしてもしなくてもいい」という空気の中で、マスクをしていることの煩わしさがそんな気持ちを誘起させているのかもしれません。そしてもう一つ。最近マスクのゴムが当たる耳の部分が痛い。コロナ禍が始まったころは耳たぶ辺りの皮膚が赤く爛れたりしていましたが、ずっと付けているうちにまったく痛くなくなっていました。それが当たり前になっていたから皮膚も鍛えられたのしょう。最近また痛くなってきたのは、マスクを付けたり外したりする頻度が増したせいではないかと感じています。妻の鼻にニキビができたのも、必要最低限の時だけ付けるマスクが車の中の埃に埋もれているせいだろうと分析。

手指消毒もかなりいい加減になってきました。感染予防の切り札はマスクよりも手洗いなのでしょうが、明らかにいい加減です。店の出入り口の消毒液も形だけで中味をちゃんと交換しているのかも定かではありません。コロナ前には意地でも手洗いなんかしなかったわたしが、事あるごとに手を洗い、水道がなければ手持ちの消毒液で何度も拭いてきました。外から帰れば何も触れてなくても石鹸で手洗い。それがこの3年間のルーチンでした。今も基本的には手洗い、消毒をしてはいますが、各々の所作がちょっといい加減。「ま、形だけやっとけば大丈夫じゃない?」的な気持ちがどこかに巣くってしまった気がしてます。ドアノブは相変わらず人が一番触ってないであろう部位を捻るので効率は悪い(これは流石にむかしに戻れないまま)。

まあしょうがないと云えばしょうがないのでしょうが、インフル流行期の方がもっときっちりやってた気がします。くどいようだけれど、今、『アフターコロナ』は確かに『アフターコロナ』なのだけれど、それでもコロナは再流行期に突入しています。やるべきことはちゃんとやらなけりゃ!と気を引き締めようと思う今日この頃です。

 

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サーチュインとフレイル

わが家の14歳半になる老犬が急に食欲が落ちてきてちょっと気がかりです。白内障がひどくなって目がよく見えないためにあちこちぶつかる様になり臆病になって動かなくなったのも原因かもしれません。それでも見えないなりについ最近まで元気に庭を走り回り日課の散歩を楽しみにしていたのです。それが急に衰えたのは寒暖差が強くなった頃にお腹を壊してからのような気がします。

この子は幼犬の頃からあまり食べない子で、「犬らしくない」と言われてきました。私なんか目の前のものが全部なくなるまで意地でも喰うので「戌年生まれだからしょうがないね」などと云われてきたのに。食べたい時に食べたい量だけ食って、満足したらフードがどれだけ残っていても一切口にしません。食べ残したフードを引き上げてもお腹が空いたアピールすらしません。だから餌を使っての躾が一切できませんでした。そんな子でしたが、先代の犬たちと比べると大きな病気をすることもなくつい最近までとても元気な子でしたので、「コレはきっとサーテュイン遺伝子が発動されているからなんだろうね」と夫婦で話したものです。生物は3割、4割のカロリー制限をすると長寿遺伝子サーテュインのスイッチがオンになると云われています。先代の子たちは歳をとってからサーチュイン遺伝子発動機転が発動した感じですが、この子は仔犬のころからそうでした。

そんな彼女ですが、ここへ来て逆に”食べない性格”の弊害が出てきているように思います。散歩中に腰の辺りを触ってみたら想像以上に痩せていて驚きました。わが家は生活の場が中二階、寝室が二階なので、階段を上り下りするのが生活の基本です。どうもそれが億劫になっているようなのです。筋力が落ちて滑ってしまうようでもあります。もちろん、フードも水も中二階なので、必要に迫られたら勝手に上がってくることはできますが、昔は意地でも二階の寝室に上がって皆と一緒に寝ていたのに、今は必要なければすぐに階下に降りて玄関で寝るようになりました。「コレがいわゆるフレイルってやつじゃないのかな」と、今度は夫婦でそんなことを話す今日この頃。

細い食の方が細胞老化を防いでアンチエイジングにつながるサーテュイン遺伝子なので若い頃には少なめに食べるのがベストですが、ある程度の歳になると今度はフレイルだとかサルコペニアだとかのきっかけに「あまり食べない」が入ってきます。「食べたいときに食べたい量だけ食べる」が健康の基本だと思っているのですが、「食欲ないから食べない」が負のスパイラルに落ち込む入り口になるとなると、ちょっと悩んでしまいます。でも、無理して食っても意味はないし・・・やはり、食べる量に関わりなく、「毎日、食べるのが楽しい」という気持ちになれるのが大切なのだろうという結論に至りました。うちの老犬に、食いつきの良いササミ肉を加えることも大事だけど、毎日お散歩するのが楽しい!を維持できるのがもっと大切なのだろうと痛感している次第です。

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タブーの領域

最近、医療界でも若干タブー視されてきた領域の記事がいくつも出てきていてちょっと目を引きます。

自慰行為の進化上の利点とは?

 ”快楽のための行為と見なされがちな自慰だが、実際には、進化において重要な役割を果たしている可能性があるようだ。ヒトを含む霊長類の自慰行為は、少なくとも雄にとっては、生殖の成功率を高めるとともに性感染症(STI)への罹患リスクを低減させる効果のあることが、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMatilda Brindle氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「Proceedings of the Royal Society B」6月7日号に掲載された。

男(オス)のマスターベーションのメリットは、「精子の新鮮さを維持」「性感染症対策」「弱いオスが子孫を残す手段」という3つだと云うのですが、学問的な口実はいいとして、やはり現代社会の人間についていえば、やっぱり『マスターベーション=快楽』でいいのではないでしょうか。でも、愛おしい人を思って自分で独り想いにふける行為は決して不純な物ではないと思います。

 <勃起不全治療用のゲル剤、米FDAがOTC製品として販売承認

米食品医薬品局(FDA)は6月9日、22歳以上の男性向けの勃起不全治療用ゲル剤MED3000(商品名Eroxon)に対して、処方箋を必要としないOTC製品としての販売を初めて承認した。これにより、勃起不全を抱える男性は、症状の治療に外用ゲル剤を使用するという選択肢を持てるようになる。

こっちはもっと現実的な話。社会的には避妊の方向ばかりだったのに、男性のEDの悩みに積極的に取り込ませようとする・・・こういう話題があえて人目に触れる場に出てきているのは、出生率の低下やセックスレスの社会に対するある意味”啓蒙”活動のひとつなのかもしれません。
 

 

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健診の心房細動サーチ

自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県

大分大学、大分県臼杵市、大分県杵築市、大分県後期高齢者医療広域連合、臼杵市医師会、杵築市立山香病院、JSR、日本コンベンションサービスは、「心房細動」の潜在患者を自治体の健康診査で早期発見する「健康寿命延伸事業」を開始した。
 健診でハイリスクと判定された65歳以上の高齢者を対象に、1週間の連続測定が可能なホルター心電計を装着してもらい、心房細動を早期発見し治療介入につなげる。健康寿命と平均寿命の差を縮めるための、全国に先駆けた循環器病対策のモデル事業としている。”(保健指導リソースガイド2023年06月12日配信)

心房細動という不整脈が血栓を作って脳梗塞や下肢閉塞などをもたらすことは世間でも認知度が上がってきている感がありますが、必ずしも動悸やめまいや息苦しさが典型的に表れるとは限りません。人間ドックで心電図や診察で発見されても、本人は「どうもない」とキョトンとしている事の方が多いです。脳梗塞になって初めて自分に”心房細動”があるのを知ると云うこともめずらしいことではありません。単に”不整脈”というだけならいくらでも存在しますが、それが”心房細動”かどうかは心電図でしかわかりません。ところが心電図検査で”心房細動”を見つけることが思っているほど簡単なことではないのです。検査している時に”心房細動”ではなくても家では”心房細動”だったということも少なくないのです(これを”発作性心房細動”と云います)。だから、知らない間に発作性心房細動になっていないかを調べるためにホルター心電図(携帯型24時間心電計)を装着するわけですが、これがまた、たまたまの24時間では発作キャッチが簡単にはできないのです。

今はアップルウオッチのような‎ウェアラブルデバイスが普及して、発作時の心電図をキャッチすることはかなり可能になりましたが、これも症状がある人が、異常を確認するために使うわけで、自覚症状がない危険因子持ちというだけの高齢者の中から”発作性心房細動”を見つけ出すためには、この24時間心電計を少なくとも1週間以上(可能なら1ヶ月くらい)装着できる必要があるわけです。そうなると、経済的にも人材的にも無理が出てきて、外来レベルでないとむずかしい現実があります。健診でスクリーニング的にやれたら医療費削減に大きく寄与することは分かっているけれど、健診になかなか取り入れられないジレンマ。特に熱意ある医者の存在よりも熱意ある自治体担当者と熱意ある首長が居ないとむずかしい取り組みだと思います。

それに対して、わたしの生まれ故郷である大分県が取り組んでいるというこの内容は個人的には誇りです。でも自治体が絡む事業は必ず費用対効果がきちんと評価されなければなりません。大変ですが、きちんと実績を出してこの手の事業のフロンティアとしての自負を持ってがんばっていただきたい。
 

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ビタミンD

日本人健診受診者の98%がビタミンD不足

 ”東京慈恵会医科大学病院中央検査部の宮本博康氏らは、新たに開発した液体クロマトグラフィ質量分析(LC-MS/MS)システムを用い、日本で初めて血清25-水酸化ビタミンD〔25(OH)D〕の基準濃度を検証。健診受診者5,518人の血清25(OH)Dにおける基準濃度は6〜29ng/mLで、98%がビタミンD不足に該当したことをJ Nutr(2023; 153: 1253-1264)に報告した。”

Medical Tribune2023.6.9発信号で紹介された研究結果に対して、保健指導リソースガイドでも2023.6.13に取り上げてくれました。 

 ビタミンDは体内のカルシウム吸収を促して骨密度を維持させるとともに筋肉合成を作用もあるらしいし、食事からのビタミンD摂取が多い人ほど死亡リスクが低い傾向があることも10万人近くの日本人を19年間追跡した大規模な調査で明らかになっているという。それなのに大多数の日本人でビタミンDが不足していて若い人ほどその傾向が強いわけですから、若い女性のやせと並んで将来の骨粗鬆症やフレイルの問題はこれからもっともっと深刻になることでしょう。

「測定されたビタミンDの大半が動物あるいは日光由来のビタミンD3で、植物由来(シイタケなど)のビタミンD2はほとんど検出されなかったことから、食生活の変化により植物由来のビタミンDの摂取量が減少していると推察される。また、年齢が低いほどビタミンD不足の割合が高かった」「今後の超高齢化社会に向け、骨粗鬆症や骨折の予防につながるビタミンDの摂取はますます重要となる。ビタミンDが不足している現状に対する早急な介入とともに、ビタミンD不足を引き起こすその他の原因についても解析が求められる」

ビタミンDキノコ類と魚から摂取するものと思っていましたが、毎日キノコ(特にシイタケのみとか)はさすがに食わないわが家は、それでも今異常に魚ブームで肉より魚が食卓に並ぶ確率が高いから少し安心かしら。どうせ若い女性世代は「不足しているならビタミンDのサプリで補えば十分でしょ」とか思っているんだろうな。

 

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父の日

うちの夫婦に一番縁のないのが『父の日』。わたしの父も妻の父も遠い昔に他界してしまったし、うちに子も孫も居ないから、当たり前と言えば当たり前の事。ただ、世間が何かと『父の日』にフォーカスを合わせるようになり、インスタグラムやフェイスブックで父を思う写真記事や父と並んで笑う写真、娘や孫から手書きの手紙付きでプレゼントをもらったエピソード並べられてくると、正直ちょっと寂しい気持ちになって堪えます。以前は『父の日』は『母の日』ほどポピュラーではなかったからあまり気にならなかった。というか、世間が騒いでいてもヴァレンタインデーと同じレベルの受け止め方でほとんど気にも留めていませんでした。でもそんなことより徐々に夫婦ともに歳を取ってきたのが大きな原因なのかもしれません。

わたしの抱えている『不安うつ』はもちろん今後の金銭的な不安や肉体的な不安もありますが、身内がどんどん消えていく不安(最後はひとりぼっちになるのかもしれないという)も決して小さくはないのです。だからこういうイベントで、自分たちには縁がなくても仲間内で祝えるものがあればそれはそれでいいはずなのですが、なんか勝手に蚊帳の外感を自分で出してしまって、勝手に黄昏ているのでしょう。「なーん、『父の日』だからって、娘も孫もなんもしてはくれんのだけん、おらんのと何も変わらんよ」と慰めてくれる友人もいますが、なんかこれまた「違うのよ、それとこれとは」とひねくれてしまう。なんとも厄介なうつジジイでございます。

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実際は想像以上に面倒くさい

「もう少し様子を見ましょう。また3ヶ月後に受診してください。」

こういう事を云ってくれる先生は良心的な人だと思っていたけれど、いざ自分が患者になりその当事者になってみると、”様子を見るために通院する”というのは意外に面倒なことだとわかりました。時間や仕事の調整もいるし金の工面もいるし、それで無罪放免になるわけでもない。例えばわたしは小さな脳動脈瘤が見つかり、未破裂動脈瘤として治療するに値しないけれど大きくならないかまた一年後に受診すべく予約を取りましたが、大きさが変化しない限りその作業の繰り返しになるのでしょう。医者は良かれと思って指示してくれますが、絶対に小さくなるはずのないこの病変。いつまで続けるのかといえば、瘤が大きくなった時か寿命が尽きる時かあるいは面倒だから勝手に行かなくなる時か、そのどれかだと思います。当たり前のことではあるのだけれど、それは意外に憂鬱で鬱陶しくて面倒くさい。

面倒くさがりの医者は「また何かあったら来てください」と云って体良く追い返し、良心的な医者は「様子見ましょう」と云って次の受診を促すけれど患者の方が面倒くさくて行かなくなる。ま、世の中、そんな事が日常茶飯事なんだろうなということを今更ながらに認識した今日この頃です。

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運動は不適切睡眠を帳消しにする?

睡眠時間と死亡の関連、十分な身体活動で減弱

 ”睡眠時間は長過ぎても短過ぎても死亡リスクの上昇に関連することが示されているが、十分な身体活動によって不適切な睡眠時間による死亡リスクの上昇を緩和できることが、中国・Guangdong Academy of Medical SciencesのYannis Yan Liang氏らの研究(Eur J Prev Cardiol; 2023 :zwad060)で示された。
「身体活動量が多いことまたは推奨量のMVPAを行うことは、短時間睡眠または長時間睡眠が全死亡リスクおよびCVD死リスクに与える有害な影響を弱めることが示された 」「中年層の早期死亡を予防するには、介入のターゲットを身体活動と睡眠時間のいずれかに絞るよりも、両方とする方が効果的である可能性がある 」

睡眠は長すぎても短すぎても不健康だということは周知の事実であり、『ショートスリーパー』を自慢にする御仁も多い(「自分は寝なくても平気、むしろ寝ないほうが調子がいい」という人たち)けれど、ショートスリーパーほど生活習慣病が多く、突然死も多いことが分かっています。長すぎる人は睡眠の質が悪い人で細胞修復や健全な代謝を行うに十分な深い睡眠が得られていないことを示すと云われています。そんな不適切睡眠を十分な運動が帳消しにしてくれるという研究結果だと理解しておいていいのでしょうか。

でも、本当に大丈夫なのでしょうか。過労で超睡眠不足で眠そうにしている人に「体にいい」という大義名分で過激な運動させたら、突然死や急性心不全を起こしませんか? 循環器内科医としての以前の経験から考えると「睡眠不足下での運動はほどほどの方がいいのでは?」と思うのですが・・・取り越し苦労なのでしょうか。

 

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腹囲と認知症

アジア人は内臓脂肪が過剰にたまると認知能力が低下しやすい 日本人も少し太っただけで代謝障害が

 ”アジア人は、内臓脂肪が過剰にたまると、思考・学習・記憶などの認知能力が低下しやすいことが、9,000人近くのアジア人を対象とした調査で明らかになった。欧米人だけでなくアジア人でも、肥満を予防したり改善することは、認知機能を良好に維持することに影響することが示された。肥満と認知症は、公衆衛生で優先度高い主要な課題になっている。

保健指導リソースガイド2023年05月29日配信号です。内容は直接読んでみてもらうとして、さてさて、「内臓脂肪が多いと認知症になるからやせましょう」は行動変容のためのモチベーションに寄与できますか? なんか公衆衛生学的な統計学的有意差の話をしているだけであって、内臓脂肪蓄積によりインスリン抵抗性が助長されて動脈硬化が進むから脳血管障害になりやすいのだとか、腸脳相関によって腸内細菌叢の質の悪化が認知症をもたらすのだとか、内臓脂肪増加によって増減するなんらかのホルモンが記憶機能に直接悪影響を及ぼすのだとか、なんかまことしやかな機序の説明がないと「呆けたくなかったらお腹を縮める努力をしなさい」と云われてメタボ改善の努力をするとは思えません。あまりにかけ離れた結果が表示されても人は動かないような気がします。そしてこういう研究の時に重要なことは、『メタボの認知症患者さんがメタボ改善のための努力を強制的にさせたら認知症は改善する』ということは云えるのか?という点ですね。是非とも、そういう点に言及した研究データが見てみたいです。

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えぐれた筋肉

フレイル気味に体力を落としてきて心配だったわが家の老犬(14歳半)は先週からフードに少量のササミを追加してから食欲に火がついて、そのおかげか下痢が治って立派で大きなウンチをするようにもなり、腰回りの筋肉も目に見えてついてきました。視力だけは一層見えなくなっているようで隣に立っても気づかないし見当違いの場所に嵌まり込んでで右往左往することはありますが、とりあえず元気を取り戻してくれてちょっと安堵しています。

一方、冗談抜きでみるみる体重が減る中で特に上半身の筋肉が萎んでいくわたしの身体。昨夜入浴前に洗面台の鏡で見たら、両方の肩甲骨周りの筋肉がなくなってえぐれているのを発見して愕然としました。上腕もめっちゃ細くなって。昔、10キロ以上ダイエットした時に出張先のホテルで鏡に映る自分の姿が入院中の老人のように痩せ衰えていてビックリした時に似たショック。頚椎症を悪化させて右手を動かせなかった時には、右肩周りの三角筋や大胸筋が明らかに萎縮してしまってその部位に特化した筋トレをしたものです。今回は何をしたでもないのにこのえぐれ方。僧帽筋と広背筋に囲まれた領域の様ですが…右肩はリハビリしているから少し理解できるけど左肩も同様のえぐれ方をするってどういうこと? 

「タンパク質が足りないのかな」
「そういえばあなた最近お豆腐あまり食べなくなったもんね」
そうなんです。最近、すぐにお腹いっぱいになってしまって、大好きだった木綿豆腐を口にする機会が減ってしまったんです。最近痩せたのは、不安うつのせいで無造作に買っていたお菓子を買わなくなった(スーパーに買い物に行かなくなった)のと酒の量を制限したおかげだと思っていたけれど、どうもそれだけではなかったのかもしれません。とりあえず、肩関節周りの筋トレを始めないといけないなと思うております。

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長いテロメア

長いテロメアが有利とは限らない

 ”テロメア長の短縮は細胞老化や加齢関連疾患を引き起こすことが知られているが、必ずしもテロメアが長ければ有利とは限らないことが示された。米・Johns Hopkins University School of MedicineのEmily A. DeBoy氏らは、テロメア長の延長に関連する遺伝子POT1の変異保有者と非保有者を2年間追跡した結果、長いテロメアを有するPOT1変異保有者では白髪化の遅延が見られた一方で、クローン性造血が67%に認められ、さまざまな良性・悪性腫瘍が発現していたとN Engl J Med(2023年5月4日オンライン版)に発表した。

テロメアという染色体末端にあるタンパク質が、生まれたときに最長でその後細胞分裂する度に短くなり、さらに病気や不摂生でも短くなっていってそれがなくなったときが細胞の死を意味するから、日々健康に留意してテロメアが短くなる速度を抑えるのが老化を防ぎアンチエイジングを達成するのに必須だという内容を初めて学会で聞いたときにはかなりショックを受けました。だって、テロメアは短くなる方向にしか行かない(努力すると長くなるということはない)のですから、死に神様が管理する”寿命のろうそく”と同じようなものなのです。

だからテロメアは長ければ長いほど良いと思っていたら、長いテロメアを有する変異遺伝子を持つ人は、老化を抑制するのと裏腹に突然変異で発症する変異細胞も長寿命化させることで腫瘍ができやすくもなるのだと、そんなお話のようです。

もっとも、これは特殊な遺伝子を持つ特殊な人の話であって、わたしたちのような凡人には何の関係もない話であります。「凡人のテロメアはやはり長ければ長いほどよい」ということでよろしいのではないでしょうか。

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糖尿病の寛解?

2型糖尿病患者の1%が「寛解」

 ”糖尿病は「ひとたび発症したら治らない」「一度薬を飲み始めると一生飲み続けなければならない」と言われてきた。しかし、新潟大学大学院血液内分泌代謝内科学分野特任准教授の藤原和哉氏らの研究グループが2型糖尿病患者の臨床データを後ろ向きに解析したところ、糖尿病発症例のうち100人に1人は血糖値が正常化し薬物療法に至らない、または不要となることが明らかになったと、Diabetes Obes Metab (2023年5月8日オンライン版)に報告した。

「糖尿病を発症すると一生付き合わなければならない」と言われてきたが、食事療法や運動療法をはじめとした生活習慣改善、薬物療法、肥満外科手術などによる減量により血糖値が正常まで改善し、薬物療法が不要となるケースがある。米国糖尿病学会(ADA)を中心とする国際的な専門家グループは、薬物療法を行っていない状態で3カ月以上HbA1c値6.5%未満を持続しているケースを「糖尿病の寛解」と定義した(Diabetes Care 2021; 44: 2438-2444)。

正直なところ、わたしはこの記事の内容があまり理解できません。というか、インスリン分泌能が不可逆性に悪化してしまわない限り、糖尿病の治療の主体は運動と食事と睡眠(脱ストレス)で、薬物は第4の治療だと思っていますから、薬物療法が要らなくなったら『寛解』(白血病とかなら”もう治った”という概念)という概念があること自体に驚いています。しかも「HbA1cが6.5%未満」という基準で。だって糖尿病の治療の最初の目安はHbA1cが6.0%を切れるようにすること、その次が6.5%未満にすることだ、と教わりました。つまり、ADAの定義する「糖尿病の寛解」というのは、「エクセレントな治療中(良好な生活療法の継続ができている状態)」ということにすぎないのではないのでしょうか。少なくともわたしは、人間ドックの結果説明ではそのように説明し、「糖代謝異常については一生付いて回ると思いますが今とても良い感じの治療が継続できているのでこのまま続けて行けば薬は要らないかもしれませんね」と激励しています。それ、間違いなのでしょうかね?

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高齢者は気が散りやすい

気が散りやすいのは若年者と高齢者のどちら?

 ”買い物袋の持ち運びや車の運転のような努力を要する身体動作を行う際に、高齢者は若年者よりも、その動作とは関係のない物事に気を取られやすいことが、米カリフォルニア大学リバーサイド校(UCR)のLilian Azer氏らの研究で示唆された。この研究結果は、「Psychology and Aging」に4月27日掲載された。

「今回の研究から、高齢者は若年成人と比べて、認知力を要する課題と努力を要する身体動作の課題に同時に取り組んでいる最中に、周囲からの妨害を無視できにくいことが明らかになった。人は加齢に伴い、取り組んでいる課題には関係のないことを無視する力は低下していく。特に、日常生活で遭遇するような身体的な課題を行っている最中には、その低下が顕著になる」

はい。わたしもとうとう前期高齢者に突入。何かに熱中しているときに横から妨害されるともともとしていた仕事の注意力が散漫になるのが高齢者の特徴だということを肝に命じましょう。特に運転中は運転にのみ集中。ラジオやテレビの声に反応してはいけません。お散歩中の歩きスマホもいけません。もう若くはないのだということを自覚しましょう。その点、ゲームやNetflixやスマホに集中しているときに声をかけても100%無視する妻はまだまだ若いという証なのでしょうか。

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ポツポツとパラパラ

なんかとても面白いと思ったので、今日他のブログ(日記帳)に書いた文章をこっちにもコピペしちゃいました。

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台風2号の北上に伴う夜中からの雨はまあまあ半端なかったようだけど幸い強風や雷がなかったので比較的穏やかにやり過ごせました。

ところで、昨日からの雨、ウエザーニュースを逐一チェックして一喜一憂していましたが、雨雲レーダーの所に降水量(mm)と一緒に「パラパラ」とか「ポツポツ」とかいう表現が書かれているのに気づきました。これ同じミリ数でも表現が違ったりしていて、なんか面白い。日本人らしい感覚的表現です。あまり定量的・科学的な表現ではないけれど、かえってこっちの方がニュアンスが伝わりやすい気がしますね。ちなみに今日は朝から「ザーザー」か「サー」です。「サーと降る」の「サー」ですね。いやぁ、実に面白い。

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こういう曖昧だけど情緒的で、なんとなくのニュアンスだけで意思が通じ合えるのが日本人。こういうところ、いつまでも引き継いでいただきたい文化だと感じています。

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霜降り筋

心身ともに忙しくてしばらく溜めこんでいたMedical Tribuneの記事をまとめ読みしています。その中で気になった内容をいくつか抜粋して紹介してみます。

筋肉の霜降り化は死亡リスクを上昇させる?

 ”内臓脂肪が健康に良くないのは周知の事実だが、それよりもたちが悪い脂肪があるようだ。それは、筋肉内に蓄積する脂肪(筋内脂肪)だ。本来なら脂肪が蓄積されないはずの筋内に脂肪が蓄積している状態〔myosteatosis(骨格筋異所性脂肪化)〕の人では、死亡リスクが上昇し、その上昇の程度は内臓脂肪型肥満や脂肪肝の人でのリスク上昇よりも大きいとの研究結果が報告された。米ウィスコンシン大学医学部・公衆衛生学部の消化器画像診断主任であるPerry Pickhardt氏らによる研究で、「Radiology」に5月16日掲載された。

ヘルスデーニュースからの抜粋ですが、異所性脂肪化が骨格筋で起こることを示しています。このメカニズムについては、むしろ日本成人病予防協会から出されている記事の方がわかりやすいと思います。なぜ異所性脂肪化が起きるのか、どうしたら異所性脂肪は取り除けるのか、ヘルスデーニュースでは「どっちも分かっていない」としていますが日本成人病予防協会は”サテライト細胞”をキーワードに説明しているので、何となく分かった気にさせてくれます(笑) まあ対処法が内臓脂肪蓄積の予防と治療に類似するのは理解できるところでしょうが。

わたしがこの記事に目が留まったのは、実は全く別の理由です。もう10年以上前、糖尿病予防の研修会を受講したときに『霜降り筋』という単語を聞いたことがあったからです。それは決して否定的な内容ではありません。スポーツで有名な某私立大学では「駅伝部の選手たちに箱根駅伝で勝つために『霜降り筋』を作らせる研究をしている」というものでした。選手たちは日頃から身体を鍛え、栄養管理も専門の管理栄養士指導の下でやっているけれど、筋肉を作って脂肪を蓄えないと長距離を走るスタミナが得られない。皮下脂肪を蓄えすぎると重くて走れない。そこで、筋肉内に良質の脂肪を蓄える、いわゆる『霜降り筋』を作ることでレースに勝てる身体作りをすることを研究している、という趣旨だったように記憶しています。気になったのでネット検索してみますが、今回の記事のような否定的な内容しか出てきません。あの研究はどうなったのでしょう。

 

 

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