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健診の心房細動サーチ

自治体健診で「心房細動」を早期発見 健康寿命と平均寿命の差を縮める 日本初の「健康寿命延伸事業」 大分県

大分大学、大分県臼杵市、大分県杵築市、大分県後期高齢者医療広域連合、臼杵市医師会、杵築市立山香病院、JSR、日本コンベンションサービスは、「心房細動」の潜在患者を自治体の健康診査で早期発見する「健康寿命延伸事業」を開始した。
 健診でハイリスクと判定された65歳以上の高齢者を対象に、1週間の連続測定が可能なホルター心電計を装着してもらい、心房細動を早期発見し治療介入につなげる。健康寿命と平均寿命の差を縮めるための、全国に先駆けた循環器病対策のモデル事業としている。”(保健指導リソースガイド2023年06月12日配信)

心房細動という不整脈が血栓を作って脳梗塞や下肢閉塞などをもたらすことは世間でも認知度が上がってきている感がありますが、必ずしも動悸やめまいや息苦しさが典型的に表れるとは限りません。人間ドックで心電図や診察で発見されても、本人は「どうもない」とキョトンとしている事の方が多いです。脳梗塞になって初めて自分に”心房細動”があるのを知ると云うこともめずらしいことではありません。単に”不整脈”というだけならいくらでも存在しますが、それが”心房細動”かどうかは心電図でしかわかりません。ところが心電図検査で”心房細動”を見つけることが思っているほど簡単なことではないのです。検査している時に”心房細動”ではなくても家では”心房細動”だったということも少なくないのです(これを”発作性心房細動”と云います)。だから、知らない間に発作性心房細動になっていないかを調べるためにホルター心電図(携帯型24時間心電計)を装着するわけですが、これがまた、たまたまの24時間では発作キャッチが簡単にはできないのです。

今はアップルウオッチのような‎ウェアラブルデバイスが普及して、発作時の心電図をキャッチすることはかなり可能になりましたが、これも症状がある人が、異常を確認するために使うわけで、自覚症状がない危険因子持ちというだけの高齢者の中から”発作性心房細動”を見つけ出すためには、この24時間心電計を少なくとも1週間以上(可能なら1ヶ月くらい)装着できる必要があるわけです。そうなると、経済的にも人材的にも無理が出てきて、外来レベルでないとむずかしい現実があります。健診でスクリーニング的にやれたら医療費削減に大きく寄与することは分かっているけれど、健診になかなか取り入れられないジレンマ。特に熱意ある医者の存在よりも熱意ある自治体担当者と熱意ある首長が居ないとむずかしい取り組みだと思います。

それに対して、わたしの生まれ故郷である大分県が取り組んでいるというこの内容は個人的には誇りです。でも自治体が絡む事業は必ず費用対効果がきちんと評価されなければなりません。大変ですが、きちんと実績を出してこの手の事業のフロンティアとしての自負を持ってがんばっていただきたい。
 

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