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長いテロメア

長いテロメアが有利とは限らない

 ”テロメア長の短縮は細胞老化や加齢関連疾患を引き起こすことが知られているが、必ずしもテロメアが長ければ有利とは限らないことが示された。米・Johns Hopkins University School of MedicineのEmily A. DeBoy氏らは、テロメア長の延長に関連する遺伝子POT1の変異保有者と非保有者を2年間追跡した結果、長いテロメアを有するPOT1変異保有者では白髪化の遅延が見られた一方で、クローン性造血が67%に認められ、さまざまな良性・悪性腫瘍が発現していたとN Engl J Med(2023年5月4日オンライン版)に発表した。

テロメアという染色体末端にあるタンパク質が、生まれたときに最長でその後細胞分裂する度に短くなり、さらに病気や不摂生でも短くなっていってそれがなくなったときが細胞の死を意味するから、日々健康に留意してテロメアが短くなる速度を抑えるのが老化を防ぎアンチエイジングを達成するのに必須だという内容を初めて学会で聞いたときにはかなりショックを受けました。だって、テロメアは短くなる方向にしか行かない(努力すると長くなるということはない)のですから、死に神様が管理する”寿命のろうそく”と同じようなものなのです。

だからテロメアは長ければ長いほど良いと思っていたら、長いテロメアを有する変異遺伝子を持つ人は、老化を抑制するのと裏腹に突然変異で発症する変異細胞も長寿命化させることで腫瘍ができやすくもなるのだと、そんなお話のようです。

もっとも、これは特殊な遺伝子を持つ特殊な人の話であって、わたしたちのような凡人には何の関係もない話であります。「凡人のテロメアはやはり長ければ長いほどよい」ということでよろしいのではないでしょうか。

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