肝に銘じます
「黄門様のご恩は一生わすれません。今おっしゃったことを”肝に銘じて”死ぬまで精進いたします」
リバイバルのテレビ番組『水戸黄門』を見ていると、よくこのことば=『肝に銘じる』を耳にします。
※肝に銘じる=しっかり心に刻み付けて忘れないようにしておくこと
日本人なら、学校で教わったわけでもないのにいつの間にか身についていることばの一つですから、おそらくテレビか小説かで学習するのでしょうか(それなら今後、若い人たちの中に意味を理解しない人たちが増えてそのうち死語になるのかも)。ただ、この『肝に銘じる』ということばは、「”こころ”に刻みつける」という意味なのに、決して『心に銘じる』とか『アタマに銘じる』と云わないのはどうしてなのでしょう。それほど肝臓は信頼できる臓器なのでしょうか。
むかしから『肝心(腎)要(かんじんかなめ)』と云うように、日本人にとっては太古の昔から肝の方が重んじられていたことは推測できますが、もしかすると「こころ」は移り気なものですぐに忘れてしまうものだから信用されなかったのでしょうか。肝臓は物云わぬ臓器でありながら生命の源の全てを制御するもの。決して裏切ったりしないもの。そうですよね、それが肝臓ですよね。わたしは『かんじんかなめ』と云ったら『肝心』ではなく『肝腎』を思い浮かべます。肝臓の次に信用できてしかも生命維持に重要な臓器は腎臓…循環器内科医としても心臓の方が重要だと云いたいところなのだけれど、やはり心臓は『こころ』と書くだけのことはあって、すぐにごまかしたりウソをついたりする臓器だから、どこか軽い。まあ、それが取り柄なのでしょうけれど、こういうときには二の次、三の次に回されるのもどこか理解できます。
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