怖いだろうな
1ヶ月ちょっと前にリンパ腫の診断を受けて、一時はステロイドで元気に食べたり小走りしたりするまでに回復していたわが家の老犬ですが、その幸せな時はそう長くなく、食べても痩せていく状態からさらにステロイドの効果がなくなると一気に病状は進行しました。昨日からほとんど立てなくなり、尿は出ず、便失禁を繰り返す状態。異常に大きくなったリンパ節が喉を圧迫するのか夜中に悲しい苦しそうな啼き声が続きました。
抗がん剤治療をしないと決めた日から、わたしたちはこの日が来るのは覚悟していました。だから辛いけれど最期まで見届ける気持ちで彼女を見ています。でも、当の本人には何も伝えていません。彼女は急激に自分の中に起きていることが理解できずに慄いているに違いありません。なんとなく続く下痢と急に声が嗄れ始めたときには、本人どころかわたしたちもこんな大病だとは思ってもいませんでしたから。「何かおかしい」と感じたときから、突然何が起きるかわからなくなったから得体が知れずにとても怖いでしょう。ほんの1週間前には普通にフードを食べていたのですから。
わからないけれど、彼女もおそらく「今までとは違う」「自分に死期が迫っている」ことは感じているかもしれません。でもどこかで「そんなはずはない」「何かの間違いだ」とも思っているような気がします。だから、もう立てないのに夕方5時前になると「散歩に行かなければ」と騒ぎ始め、なんとか立ちあがろうとする。それは彼女のプライドなのかもしれません。
おそらく、人間も同じなのでしょう。覚悟していても怖いものですが何も知らせられていないならもっともっととてつもなく怖い。どこかで諦めていても、でも「死ぬよ」とは云われていないのだから「良くなるかもしれない」とも思う。遠いむかし、末期の胃噴門がんだった母に最後まで病名を知らせなかった(当時はそれが当たり前だった)ときのことを時々思い出しては心を痛めます。おそらく今、目の前の愛犬も同じなのかもしれないと思うと、心が痛いのであります。
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