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オンとオフ(1)

『人を救うには、まず自分が健康でなければならない』

これは日本救急医学会が働き方アクションプランで提唱しているポスターの標語です。この横にはさらに小さな文字で以下のようなコトバが付け足されています。

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そうでないと、判断を誤る。スタッフが迷う。
家族が心配する。自分を責める。
もしキミが救急医になるのなら
まず自分のことを最優先に考えて欲しい。
それを非難する人がいるならば、
私たちが引き受ける。
高齢化は進む。医師は足りない。
だからこそ救急医が健康であること。
これは義務だ。

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このポスターが職場の医局の前に掲示され始めて久しい。「医療現場の働き方改革は困難だ、特に救急医療を行う現場では使命感に包まれた医者の熱意で助かるか助からないかが決まるのだ!」とわたしたちの世代の医者は皆そう考えてやってきました。でも、それによって過労死が増え、メンタル不調が増え、医者もひとりの人間であるという当たり前の原点に立ち返る必要に迫られている今日この頃です。『チーム医療』で皆がカバーし合ってがんばればできないことはない、という思いも当たり前になってきました。

ただ一方で、病棟で受け持ち患者を持つ医者、外来で受け持ち患者を持つ医者・・・こっちの方がチーム医療はやりやすいし有給休暇をとってオフを楽しむことは容易いと思われがちですが、現実はそうでもないように思います。受け持たれている患者にとって、チーム医療は「多くの先生が自分を見守ってくれている」という事ですよと云われても本当は納得できません。「自分のことを分かってくれるのは●●先生だけで他は形だけでよそよそしい」と感じる患者さんは多いと思います。たとえば愛車のディーラーさんで最初の車を購入したときに担当した人が退職して担当を交代したとき、次の担当の人とは最初に担当した人ほどは深い関係にはなれないもの。細かい相談事をすることをお互いに気遣ってしまいます。それがさらに次の担当に代わったら、もはやこっちから連絡しない限り必要最低限の連絡しかしてこなくなるのは必定だと感じています。おそらく医療現場だけでなく普通の会社でも、営業職は特に自分の担当する取引先の細かいことは自分しか分からないし相手も自分を信用して取引してくれていることを実感しています。だから、自分の体調が不調でも何とかがんばろうとする・・・企業の産業医をしながらメンタル不調で倒れていく人たちを見ていると、皆そんなジレンマに悩まされているように感じます。 (続く)

 

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