食塩感受性
高血圧の犯人が塩分だけではないことはほぼ知られてきていますが、それでも『食塩感受性』が高いと塩分の影響は受けやすいと認識してきました。そもそも海中生物だった生物はナトリウムによって体内機能の維持を行っており、人類を初めとする動物たちが陸に上がり海中にいたときほどナトリウムを自由に摂取できなくなったがために、体内に効率よく塩分を貯める仕組みが必須となりました。体内では塩分濃度を一定に保つために塩辛いものをたくさん摂ると水分を体内に溜めて濃度を薄める作用をするので体内の血液量が増えて結果として血圧が上がる。だから内陸部に住む人種ほど少ない塩分で血圧維持できない人たちがバタバタと倒れ、少ない塩分でももきちんと血圧が上げられる人が自然淘汰の中で生き延びてきたのだ、と教わりました。つまりその体内にナトリウムを蓄えて水分を蓄える力が強い人を「食塩感受性が高い』」というのだ、と。
ただ、昔から疑問だったのです。日本人は欧米の白人に比べれば食塩感受性の高い人が多いとはいえ、アフリカの黒人ほどは多くなく、せいぜい約半数なのだと聞いていますから、日本人に高血圧が多いのは塩分だけのせいではないのではないか、と。どうも、高血圧に関連するものはほかにタンパク質と酒などもあるのではないかとこの本には書かれていました。東北の農村部は冬は雪に閉ざされて寒くて新鮮な野菜や魚が手に入らず一方で米でどぶろくを作って酒を飲んで冬を過ごしたのに対して、漁村では海藻や野菜や新鮮な魚を存分食べる一方で米は不足するので酒は飲まず冬でも漁に出て身体を動かしてきた。その結果が脳出血の罹患数の差に表れているのだそうです。
もう一つはカリウムでしょうか。カリウムは血中のナトリウムを引っ張り出してくれる効果があるから。でもねえ、意外にカリウムをたくさん摂るのは大変。「野菜に多く含まれている」と説明はするけど、ゆでたり切ったりするとカリウムは出て行ってしまいますから、大量の新鮮野菜をバリバリ食わねばなりません。わたしは意外に食っている気がするけど、ナトリウムと1:1にすべし、と云われるとさすがに自信はありません。
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