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高血圧の基準が変った?

「『高血圧の基準が4月から160/100mmHgに変わったんでしょ』と受診者さんに云われることがあったので、色々調べてみました」

先日、わたしの働く施設の保健師さんがこんなメールを送ってくれましたが、それまでわたしはそんな話を聞いたこともなかったのでちょっと驚きました。なにしろ、「血圧は24時間血圧計の平均値で120/75mmHg以下にコントロールしないと危険です」と外来主治医に云われて、この5ヶ月間でシビアな血圧コントロール指導を受けたばかりのわたしですから。保健師さんの検索した記事の解説によると、

高血圧診断基準ではなく、全国健康保険協会(協会けんぽ)が、従来から行っていた「未治療者の方への受診勧奨(重症化予防事業)」の勧奨基準を、「収縮期:140mmHg以上/拡張期:90mmHg以上」(Ⅰ度高血圧)の基準から、2024年4月~「収縮期:160以上/拡張期:100以上」(II度高血圧)の基準に変更したようです”とのことです。どうして、こんな中途半端な勧奨基準に変えたのでしょうか。この記事に書かれているように、”今までは、「病気の兆しが出ていて、このまま放置すると病気になりますよ」という勧奨基準から、「すでに病気の診断基準を満たしているので直ぐに治療を始めてくださいね」というメッセージに変更されたのです。本当に日本国民の健康を守ろうという意識があるのか、はなはだ疑問に感じますが、医療経済学的な観点から考えれば、致し方ないのかもしれません”というのがまさしく正解なのでしょう。

人間ドックの判定基準でも、たしかに高血圧症の基準である140/90mmHgでは『要経過観察』になって医療機関への紹介状は出ません。紹介状が出るのは160/100mmHg以上です。糖尿病の評価も『空腹時血糖126以上かつHbA1c 6.5%』になって初めて紹介状です。つまり、間違いなく医療機関で内服治療を始めないとマズいレベルにならないと『要精密検査』『要治療』の紹介状は出さないみたいなのです。わたしたち医療者からすると「もっと早くから治療しないと手遅れになるでしょ!」と思うのだけれど、I度高血圧や境界型糖尿病レベルで医療機関を紹介してもどうせ運動と食事の注意を指示されるだけで内服治療を始めないものだから、受診した患者さんは「まだ治療は要らないレベルだ」と勘違いしてしまう。だから絶対に薬剤治療を始めるレベルまで医療機関には紹介しない、ということなのでしょうか。高血圧も糖尿病も、「運動と食事」こそが治療なのだと云うことをもっと医療機関の医者たちが強調してくれさえすれば問題ないのに、彼ら医者たちも「内服治療をするレベルでないものは医療機関の仕事ではない」と思っているものだから、こんな状況に陥ってしまっているのだと思います。

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