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2024年11月

うち、テレビ見ないから

最近の若い方は、とにかくテレビを見ない。見たくもない、面白くもない画面を見るくらいなら、好きな動画をYouTubeやサブスクで選んで見ていた方が充実すると考えている様です。独身の特権でもなく、お母さん方は子どもたちにもYouTube動画を見せておくのが一番やりやすいと考えている模様ですし、YouTubeを使った教育動画も無料でダウンロードできて子どもたちが楽しく文字を覚えたり県名を覚えたり、そんなコンテンツも充実していると聞きます。

ただ、自分から情報を求めていくやり方は、一歩間違うとほとんど社会の常識を知らないままに過ごすことにもなります。面白くないから、興味がないからと言って、法規の変更があっても知らないし、凶悪事件があったり大災害があっても目を瞑れば何も情報は入ってきません。今問題になっている闇バイトについても、どうして分かっていても応募するのかといえば、これだけ連日テレビ報道があったとしても特別に自分から情報を求めなければ、世間で思っている以上に何の情報も得られてはいないからではないかと思ったりします。

うちの職場の保健師さんに「こないだテレビの健康番組で受診者さんに参考になる話があったよ」と云ったら、「うち、テレビ見ないから」とけんもほろろでした(笑)。ちょっと、やりにくい世の中になりました。

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予測不安

うちの愛犬3歳半は相変わらずの予測不安の塊で、家の外をトラックらしき車が走っていく音がするだけで血相変えて二階に逃げて上がります。それどころか、散歩中に遠くにトラックらしきものが走っているのに気づいたりコンビニの駐車場に貨物車が停まっているのを目撃しただけで逃げていこうとします。わたしが風呂上がりにドライヤーを持った音(まだコンセントすらはめていないのに)を聞くだけでも逃げ上がりますし、最近だと日が短くなったので散歩で家に帰りつく前の路地で遠い向こうから車のライトが近づいてくるだけでも踵を返そうとします。きっとあのライトがクロネコヤマトのトラックのものと想像するのでしょう。

「この子の激しい予測不安はちっとも治らないね」・・・散歩中にわたしがそう云ったら、すかさず妻が「あなたにそっくり」と云う。「ボクはこの子みたいな予測不安な人間じゃないよ」と反論したら、苦笑いしながら「あなたは予測不安だらけよ」と一蹴されました。一週間後の天気が雨かもしれない、台風が来るかもしれない、寒いかもしれない・・・そんなことを一週間ずっと云ってるし、どんどん預金が減っていくからこのままだと一文無しになるかもしれない、咳がなかなか治らないから変な感染症かもしれない・・・などなど、挙げれば切りが無いというのです。天気なんて直前にならないとどうなるかわからないんだし、お金なんて天下の回りものでしょ!とおっしゃる。咳が気になるならさっさと内科を受診しなさい!とも。

はいはい、あなたのおっしゃるとおりでございます。でも、常に『転ばぬ先の杖』、最悪の状況を想定していれば概ねのことが想像より軽く済んで「よかった、よかった」となるじゃない。これがわたしと愛犬の処世術なのさ。

 

 

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寿司屋の握り

先日、通りすがりのテレビ画面に、どこぞの有名寿司屋の大将が握る鮨の画像が流れていました。

それを見てまず最初に、「うわ、旨そう!」と思う人と、「うわ、高そう」と思う人の二種類があるんのだろうな、と思いました。もちろんわたしは間違いなく後者、そしてうちの妻はおそらく前者でしょう。そりゃ前者の考え方ができる方が人生楽しいし前向きな生き方ができるでしょう。後者は現実的ではあるけれど何かと後ろ向きな人生を送りそう、というイメージがあります。

「こんなものを食べると健康に悪いし、自分の持病には一番の敵」と分かっているのに、「でも、好きだから食べちゃうのよね」と笑いながら全部ぺろっと食ってしまう人と、好きなものだけどダメと云われているからじっとガマンする人。どっちが健康的なのかしら。健康指導を生業にしているわたしですら、この究極の選択には悩んでしまいます。ガマンは健康に悪い。でもそう言い訳しながら食べてしまうことが健康に良いはずがない。たぶん、たぶんだけど、歯止めさえ利かせられるのなら前者の方がメリハリがある人生を送ることができて、結果としては健康的な人生なのではないかなと思うところです。

「ガマンして食べたくもないものをため息つきながら食べても何の得もない。食べたいモノを少量並べてしっかり時間をかけて味わうのが理想ですよね」などと、人間ドック受診者さんにいつも話してはいますけど、現実問題として、大好きなモノが並んでいるのにそんなチマチマした食べ方ができますかね? そんなことができるくらいなら、こんな病気にはなってないんじゃないですか? と半ば皮肉だらけのことを思うのが本心であります。

くだんの鮨のくだり。だからどうするか、超庶民のわが家では、中を取ってお気に入りの廻るすし屋に行くことになるのです。

 

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歩きスマホは脳をジャックする

9割が歩きスマホによる危険を経験・目撃 歩きスマホはなぜ危険? メカニズムを解明

 ”歩行中にスマホを利用する(通話、メール、ネットの閲覧など)、いわゆる「歩きスマホ」は、転倒リスクを増大させ危険だ。調査では、9割を超える人が「歩きスマホは危険」と思っているが、それでも5割近くの人が「歩きスマホをすることがある」と回答した。「歩きスマホ」が危険なのは、周りが見えなくなるという障害があり、さらにはスマホ画面を見るのにともなう脳内の情報処理が歩行の安定性を低下させるという障害もあることが明らかになった。”(保健指導リソースガイド2024年11月11日公開)

歩きスマホを行っていると、前方をチラ見する程度で、左右には全く視線が移動しなくなる。また、視野に入ってくる風景も、スマホとその奥の路面、人の下半身などに限られ、歩行に必要な周辺環境の認識ができなくなるという。横断歩道を渡り切るときの歩行速度も、通常歩行に比べて20~30%遅くなった。””スマホ画面を見るのにともなう脳内の情報処理が歩行の安定性を低下させるという、内因性の障害もあることが、京都大学などの研究で明らかになった。

歩きスマホすると、前をチラ見するけれど左右には全く視線が移動せず、視野に入ってくる風景もかなり限定されて、歩行に必要な周辺環境の認識ができなくなる、とか、横断歩道を渡り切るときの速度が通常より20~30%遅くなる、とか、ここに書かれていることはどれも良く理解できます。わたしも歩きスマホ経験者だからです。

ま、これも理屈は分かるんです。大部分の人は「歩きスマホは危険だらやめるべき」と思っているのです。それで、「ほんのちょっとだけなら」とか、「自分はちゃんと周りを注意できているから」とか思うのです。

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加熱式タバコは「たばこ」以上の害?

「加熱式タバコ」もやはり危険 従来のタバコと同様に健康リスクが がん細胞の増殖を促進 細胞死も

横浜市立大学が、加熱式タバコを調査した結果、加熱式タバコの煙は低濃度でもがん細胞の増殖を促進させる可能性があり、高濃度では細胞死を引き起こすことが明らかになった。加熱式タバコは「紙巻タバコより有害性が低い」という印象があり、利用者は増えているが、「加熱式タバコも健康リスクをともなう可能性がある」と、研究者は注意を促している。”(保健指導リソースガイド2024年11月11日公開)

従来の紙巻きタバコと加熱式タバコから、ニコチンとタールを取り除いた成分(ガス相抽出物)を抽出し、ヒトの細胞に対する毒性を比較した結果だそうです。『細胞死(アポトーシス)』という単語を久しぶりに目にしました。ま、喫煙者の皆さん(加熱式タバコが「たばこ」ではないといまだに云い張る人も少なくないけれど)は読みたくもないでしょうが、見たくないモノに蓋をすることなく、客観的事実を知っておくのは重要なことだと思います。先日の兵庫県知事選挙でも分かるように、情報は真に客観的なソースからでないと誤解で仕組まれた間違った正義が横行しかねません。知った上で、自分の日々の行動の参考にするのが良いだろうと思います。


 

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紅白歌合戦

今年の紅白歌合戦の出場メンバーが発表されたそうで、テレビのワイドショーで紹介していました。今年の初出場がどうだこうだとか、今年も旧ジャニーズ(スタートエンターテイメント)メンバーが入らなかったとか、そんな話題をひとしきり放送していました。

最近は紅白歌合戦とか全然見ないからどうでもいいのではありますが、ちょっと気になったのは、これだけ『ジェンダーレスの時代』『多様性の時代』と云われているのだから、そろそろ紅白の戦いを『男vs女』の戦いにする構図から離れてもいいのではないだろうかということ。『歌合戦』の構図にして勝ち負けを争うことも今の時代は「コンプライアンスに反する」とか云われるのでしょうけれど、さすがにこれを止めるとモチベーションが上がらないのかもしれません。でも、性差の戦いはもう要らないでしょう。カミングアウトした某演歌歌手が「赤でも白でもない枠で出るのか?」などと揶揄される時代です。昔は「世の中男か女の二者択一」が常識だったから、ピーターさんとかのように同じようにジェンダーレスとして生きてきた歌手も「白(男)か赤(女)かどっちかにしなければならない!」という社会常識の中できっと葛藤したのだろうと思います。でも今はそれをむしろナンセンスと主張する時代。それならもういっそのこと、紅白歌合戦は残すとしても”性差”ではない分け方にしても良い時期なんじゃないでしょうかね。

 

 

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ありがた迷惑?

職場であれ、コンビニの入り口であれ、ドアを開けるときのはなしです。わたしが前の人に続いて(といっても2、3メートル後ろを)歩いているとき、前を歩く人がドアを開けて、そのままドアを押さえて待ってくれることがよくあります。わたしは職場では院内を何度も散歩するのでそういう場面には何度も出くわします。一般常識のある人ほど、躾のできている人ほど、そんな行動を取ってくれる若者がたくさんいます。云っちゃ悪いけど若手のドクターなどほとんどそんなことはしません(そういう教育の中で生きてきていないのでしょう)。わたしも以前はそうやって後ろに来る人を待つことが常でしたが、そうすることを敢えてやめました。

なぜなら、そうやって待ってくれていると「あ、どうもすいません」とか頭を下げながら小走りで慌ててその取っ手を受け取らないといけないから。それはありがたいことだし社会人としては当たり前のことかもしれないけれど、そのまま無視して行ってしまってくれてもさほど支障はないのです。云うならば「ありがた迷惑」っぽい印象を受けたから、自分がしていることも親切の押し売りになるかも、と気づいたからです。ちょっと冷たい印象かもしれないけれど、そのまま勝手に行った方が後ろに続く人も妙な気遣いをしなくてすむじゃないかと思うから(自分がそうだから)。もちろん後ろを来る人が車椅子の人とか大きな荷物を抱えた人とかならちゃんとエスコートしますけど。

同じようなことは、運転中もよくあります。最近は信号機のない横断歩道の前で待っている人が居たら走行中の車は一旦停止して歩行者を渡らせないと交通違反になります。だから、横断歩道の場合はOKです。でも横断歩道のない交差点とかあるいは公園の入り口の歩道とか、そんなところで停止してじっと待ってくれる車。「どうぞ」と云っても頑として動こうとしないからやむを得ず走って渡りますけど・・・その車の後ろは何も来ていないのだから、あなたが頑なに自分の妙な正義心に浸ってさえくれなければ、わたしは自分のペースでしかも無駄な会釈をすることもなく道を歩けるのに、と思ってしまうこと。だから、よほど後ろが続いているのでない限り、わたしが運転中の場合は敢えて無視することにしています。

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も少し恩恵が欲しい

禁煙開始が「遅すぎる」ことはない

 ”喫煙習慣のある高齢者の中には、「今さら禁煙しても意味がない」と考えている人がいるかもしれない。しかし、実際はそんなことはなく、高齢期に入ってから禁煙したとしても、タバコを吸い続けた場合よりも長い寿命を期待できることが明らかになった。例えば75歳で禁煙した場合、喫煙を続けた人よりも1年以上長く生きられる確率が14.2%に上るという。米ミシガン大学のThuy Le氏らが、禁煙によるメリットを禁煙開始時の年齢別に解析した結果であり、詳細は「American Journal of Preventive Medicine」に6月25日掲載された。”(Care Net 2024/11/04公開)

タバコの害、特にがん誘発よりも動脈硬化に対するモノは、当然いつからでもやめるに越したことがない。それは声を大にして云いたい。ただ、「高齢になってからでも、タバコをやめたら寿命が1年延びる」なんてデータを見せられて「それは素晴らしい。それならやめてみようか」などと行動変容のきっかけになるほどのデータでしょうか。当事者じゃないと分かりませんが…「高々1年延びるだけならやめんでもいいわ」と思う方が普通なような気がします。このデータを見せたら実際の患者さんが禁煙したという実績があるならすばらしいことですが、なんか医療者の自己満足な気がしてなりません。もう少しやる気になれる恩恵が欲しいです。

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ダイエットは諦めた

5月頃から月1キロのペースで増えていくわたしの体重とお腹の大きさ。いつもは、その気になればすぐに回復し、すぐに原点に戻っていた体重ですが、今年は一向に減る気配はありません。というか、まだまだ成長中です。

何故かと云えば、今までほどストイックに戻していこうという気分になっていないからです。活動量は相変わらず多いけれど、それ以上の運動をしようとか夜に腹筋運動や腹囲を減らすストレッチ運動など、以前体重絞るときには必ず頑張ってやっていた追加運動を一切していません。「血圧が心配だから」というのは言い訳ではあるけれど事実でもある。「禁酒して夜のスナック菓子やめればすぐに5キロ位は簡単に体重減るよ」と妻に云われて毎回やってみてはいたけれど、これも今回は行動に移していない。「どうせ昔ほど空腹にもなっていないのだから、若い頃の様な飲み食いはしないから」という言い訳。

要するに、そんなに乱れた生活したから出てきたお腹とは思えず、それを修復するのに昔のようなストイックな生活に戻して何になる? という思いの方が勝ってきた今日この頃であります。たしかにズボンのホックがきつきつで若い頃作ったスーツは着れそうにないし、ちょっとみっともないシルエットになったけれど、もっと太っていた頃の大きなズボンはあるからジャケットなら支障ない。だから、もう抗うことを諦めました。「わたしのお腹は皮下脂肪型だから増え始めたら簡単には減らせない」と、内臓脂肪型じゃないことをタテにもしています。

けれど、なんか最近急に上腹部が膨らみ始めたみたいで、もしかしたら内臓脂肪にも蓄積が始まった? そうなるとちょっとは頑張らんといかんのかいな。でも、一月にある冬の職員健診でとんでもない異常値が出てこない限り、このまま自然に任せる機運を取り除けはしないでしょうなぁ。

 

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味覚

先日、人気のうどん屋さんに行って、カツとじ丼を食べました。おいしいのですが、なんか味が濃い。
「これ、味が濃いよね」と云ったら、一緒に行った友人が「そうですか、普通だと思うけど」と答えました。
「お宅でご飯をいただくときに、いつも少し薄味だなぁと感じてきたから、たぶんお宅の料理の味付けが薄くしてあるんだと思うよ」とも。

まあ、うちは高血圧夫婦だから塩分控えめにしてくれていることは分かるけど、でも週の半分はヨシケイ(宅配料理)だし、時々職場で食べる売店の弁当もそんなに味が濃いとは思わない。まあ、そんな味付けを選んでいるのかもしれないけれど・・・。

これは、もしや、「若い人の好きな味覚に合わせるとこんな味の濃さになる」ということかしら。この濃さ(もちろんうどん屋だからうどん出汁が濃厚なのかもしれないけれど)でないと物足りなくて人気がなくなるということもあるかも。

いずれにせよ、これを「濃い」と感じられるわたしの味覚に安堵しました。逆だったら危ないもの。高血圧症家系で子どもの頃からいつも大量に醤油をかけて育ったわたしとは思えないほどの味覚になったわけだから、妻に心から感謝です。

 

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仕事を辞めたら

「先生は、いつまで仕事をするの?」

昨日、有給休暇を取ってゴルフプレーをしている最中に、一緒に回っている旧知の友人がそう聞きました。彼女は(まだ極秘ですが)長年勤めていたクリニックを来春辞める決心がついたそうで、「あれだけ便秘に苦しんだのに最近めちゃくちゃお通じが良いのよ。毎晩よく寝くれるし。」などと云うので、妻が「これまで、仕事でよほどストレスが溜まっていたんじゃないの?」とからかっていました。でもこれは、まんざら間違いでもなさそうな気がします。

「一応、四年後までの契約だけど、その後も働いていいと云うのならそのまま働かせてもらいますよ」
「え、まだ仕事したいの?」と妻も友人もそろって驚きましたが、「別に仕事したいわけじゃないけど、仕事を辞めてしまったらすることが突然なくなるからね」と答えたら苦笑いされました。

先日も他の友人と「宝くじの1等が当たったら・・・」という話をしたばかりです。今さらこの歳になって何億もあってもしょうがないけれど、当たったら”もう仕事しなくてもいい”状態になる。これはありがたいこと。でも、「仕事しなくてもいい」状態にはなっても、多分仕事は辞めないだろう、と。「いつでも辞められる」という心と経済的な余裕ができると仕事にも余裕ができるし楽しいに違いない。そうなったら尚のこと仕事は辞めないでしょう(もっともこの歳になると、働けられるかどうかは雇用する側の問題でしょうけど)。少なくとも、多分今わたしは仕事に何のストレスも感じていないから、わたしの便秘と不眠は仕事を辞めても改善はしない気がします(むしろ、今後が不安で一層眠れなくなるかも)。

 

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書道と不眠

書道で高齢者の慢性不眠症リスク低下

 ”高齢者の不眠症治療では、睡眠薬の使用は転倒リスク増加や認知機能低下に関連するため、認知行動療法などの非薬物療法が重要であると考えられている。国立長寿医療研究センターフレイル研究部のGeorg von Fingerhut氏らは、日本人高齢者を対象に書道と睡眠との関連を検討する横断研究を実施。その結果、書道の習慣がない者と比べて書道を行っている者では慢性不眠症のリスクが有意に低く、特に早朝覚醒と入眠困難で顕著だったとSleep Med X(2024; 8: 100124)に発表した”(Medical Tribune 2024年11月5日公開)

書道の習慣がない者と比べ、ある者では慢性不眠症(32.6% vs. 28.5%)、早朝覚醒型不眠症(9.4% vs. 6.9%、ともにP<0.001)、入眠困難型不眠症(13.4% vs. 11.3%、P=0.005)の割合が有意に少なかった。

「書道の習慣は不眠症のリスク低下と関連し、特に早朝覚醒および入眠困難のリスクを有意に低下させた。書道は日本人高齢者の不眠症に対する有効な非薬物的介入になる可能性がある」

「書道は落ち着いた環境で背筋を伸ばし呼吸を整えて行うため、ストレス軽減や精神的安定といった健康的な睡眠に有用な精神的状態をもたらす」「正しい筆順を意識した繊細な筆運びは認知機能を高める可能性があり、それがさらに睡眠の質の向上につながる可能性がある」

とのことですが、さて、睡眠障害で悩んでいるわが家の妻に、このデータの紹介をした上で今から書道セットを買ってあげたら書道を始めるかしら。面白く感じないと続かないからねぇ。書道3級(4級だったか)くらいで上達しないから塾をやめたわたしは、どうしてもやらないといけない何かがない限りしないでしょうね。というかその前に、こういう検討結果で共通して云えることですが、「書道をしている人の不眠症が少ない」という現象と「不眠症の人が書道を始めると不眠症が改善する」と云うことが同等なのかどうか? という言及はあるのでしょうか。是非そこの辺りをどなたか検討してご報告お願いします。

あ、わたし、書道はしないけど写経ならするかも。それでも良いのかしら。筆ペンかボールペンですけど。

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運動習慣

運動を週末にまとめてしても200種類の病気のリスクを下げられる

忙しくて運動を毎日続けることが難しいという人に、朗報といえるデータが報告された。毎日運動するのと週末に集中して行うのとで、健康に対して同程度のプラス効果を期待できるという。米マサチューセッツ総合病院不整脈センターのShaan Khurshid氏らの研究の結果であり、詳細は「Circulation」に9月26日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「健康のための運動で最も大切なことは、運動のスケジュールではなく運動の総量なのかもしれない」と語っている。”(Care Net 2024/11/07公開)

運動に関するガイドラインで中~高強度の運動を1週間に150分以上行うことが推奨されているが、その運動を毎日20分ずつ程度に小分けして行うのと、数日にまとめて行うのとで、健康への影響力が異なるのかという点について」検討した結果なのだそうです。

でもむかし、わたしが予防医療の世界に入って健康運動部門の責任者になったころ、「運動は20分以上続けてから初めて効果が出始める」というデータは間違いで、「どんなに細切れでもいいから合計で同じ量できれば効果は同じだ」というデータが発表されて、「だから、別にまとまった運動の時間を作れなくても日ごろからこまめに動いていれば十分だ」と健康講演などで話したものです。今回のこの報告はそれの反対側の実証だという気がします。「運動する気があれば週末にまとめてやってもやっただけの価値はあるよ」と云いたいのでしょうか。まあどちらにせよ、人間は”運動欲”という欲を持たない動物だから、「やるだけの価値がなければやらない!」という連中に何とか奮い立たせるためにあるデータでしかありません。週末運動しているからそれを免罪符にしてそれ以外はゴロゴロと食っちゃ寝、食っちゃ寝を繰り返したり、大酒を毎晩飲み続けているという人が日ごろからこまめに動いている人と同じなんて思ったら、それはやっぱり大間違いだと思いますけどね。
 

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運動しても血圧が下がらない?

運動しても血圧が低下しない人とは?

運動は血圧を低下させるのに有効だが、病態生理学的状態、運動の種類、地域による効果の違いはよくわかっていない。今回、福岡大学の末松 保憲氏らによる系統的レビューとメタ解析の結果、健康人や高血圧などの生活習慣病患者では運動の種類にかかわらず収縮期血圧が低下したが、心血管疾患患者では低下しなかったことがわかった。Hypertension Research誌オンライン版2024年11月1日号に掲載。”(Care Net 2024/11/08公開)

「運動の種類には関係なく、健常人と生活習慣病患者(高血圧症患者も含む)では血圧が低下したけれど、心血管疾患患者では低下しなかった」という反面、「オセアニアでは収縮期血圧の低下はみられなかったがアジアでは心血管疾患患者で収縮期血圧が低下した」って、矛盾してませんかね。併せると、日本人はみんな低下したということになりませんかね。「心血管疾患患者で高血圧を軽減するために運動を行う場合、患者の病態生理学的状態と地域を考慮することが重要」と結論づけていいんですかね?

高血圧患者であるわたし自身の経験では、血圧治療を開始した当時は有酸素運動をするだけで血圧は有意に低下していました。その後も運動量や種類は変わらないものの運動による血圧への影響は年々小さくなったように感じます。”心血管疾患患者”というくくりの人たちは当然心臓や血管に作用する薬剤を大なり小なり服用しているはずで、すでに十分心負荷をとり血管を十分拡張させている状態だから、そのために血圧変動が大きくなかったとかいう話ではないのでしょうか。
 

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自分の口が言わせるモノ

「やっぱ、酒の飲み過ぎですかね」「最近運動を全然せんごとなったのがいかんのですかね」「食ったらすぐ眠とうなって横になってしまうとですよね、それがいかんのだろかな」

人間ドックの結果説明をしていると受診者のみなさんは開口一番、自らこんなことばを発してくれることがよくあります。わたしの正直な印象を云いますと、こんな場合、彼らが云っていることは、ほぼ例外なく正しい分析です。「こう云う時に最初に自分から発することばは、自分の身体が云わせている内容ですよね。自分の身体が一番自分のことを知っていますもんね」とお答えする様にしています。本当は「それはあまり関係ないでしょ」と云ってもらえることを少し期待しているのかもしれませんがそれは頭の中に渦巻く自らの欲求、あるいは煩悩。だから私からの返答もおそらく想定の範囲内でしょう。素直に自らの訴えに耳を貸して、今すぐに動き始めましょう。

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あんたは大谷翔平か?

わたしが高血圧症の治療のために自ら処方してからたぶん20年近くになります。自覚症状はなかったつもりでしたが服用を始めたら妙にアタマがスッキリして、降圧のおかげなのだなと実感しました。でも、ここ数年、毎朝測定する血圧は若干高めになり、何度か測定すると140/90mmHgくらいには落ち着くのでそのままにしていました。ところが、外来受診したときに「先生、血圧180mmHgもありますけど、これで良いんですか?」と看護師さんに聞かれ、そういえば歯科受診したときも診察室前の自動血圧計に手を突っ込んだときもそんな値になっていたけれど、「朝の血圧は大丈夫なのだから問題ないはず」などと自分をごまかしてきました。さすがに気になったので循環器内科の部長に相談したのが1年前。24時間血圧計を装着してみたら寝ている最中以外ほぼ高値だということが判明し、内服薬を大量に増やされて今に至っています。今回も高血圧の自覚症状はなく、しかも服用量を増やしていつも120/80mmHg以下にコントロールしても自覚症状の変化がありません。これだけ自覚症状がなければ自ら服用しようとも思わないし、「変わりがないから勝手に止めた」という患者さんの気持ちもよく分かります。

「血圧はそんなに下げるべきではない。高齢になればなるほど高めの方が安全」とか「血圧の薬は飲み始めると止められなくなるからできるだけ飲まない方が良い」とかいう都市伝説は20年以上前から聞きますが、いまだにそんなことを云っています。でも現代社会は大きく様変わりしました。おそらく当時の壮年が高齢者になり長年の高血圧曝露が続いた結果として、今一気に心不全が問題になっているのではないかと思われます。あの説が出始めた頃の高齢者はもっと前の社会で若い頃を生きてきた人たちであり、今の私たちとはそもそもの生きてきた環境が違います。

「もう90歳を超えた隣のじいさんは若い頃からヘビースモーカーだったけど今でも元気でピンピンしとる」とか「わたしの地区の80歳のばあちゃんは若い頃からめちゃくちゃ血圧が高いけど薬も飲まずに今でも野良仕事している」とか、そんな身近な事例を並べて、だから自分は禁煙しない、血圧の治療は受けないと云い張る人はいまだに多い。でも、その”じいさん””ばあさん”はごく一部の特殊な人たちなわけで、明らかにわたしたち凡人とは違いますのよ。「大谷翔平にできたことなんだから、オレにもできる」と云っているようなものなのじゃないでしょうか。

 

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水銀柱

『血圧』というものがどういうものか、ご存じでしょうか。血圧120mmHgとはどれほどの力なのか? ”血圧120mmHg”というのは、水銀の柱を120mm=12cm押し上げる力の事です。むかしは血圧は水銀柱の血圧計で測っていたからこういう単位なのですが、水銀が使われなくなった今でも水銀柱を基準にし続けているというのも可笑しなものです。水銀は水より13.6倍重いらしいから、これを水柱に置き換えると120×13.6=1632(mm)、つまり"163cmの高さまで水を押し上げる力"ということになります。血圧130mmHgなら177cm、140mmHgなら190cmの大男(ちょうど大谷翔平選手の様な)の身長の高さまで吹き上げる力です。そんな激しい圧力がずっと全身の動脈の壁に均等にかかっているわけですし、その圧力を受け止めて対抗している心臓の押し出す力も同様です。

どうでしょう。自覚症状がないうちからこんな力を毎拍動ごとに受け止めている動脈壁には感謝しかありません。これで心電図の変化が出てきたり息切れ動悸が出始めたりするのは、それはそれは長い年月の負担のなれの果てだということがお分かりでしょうか。自覚症状などまったく当てになりません。自覚症状が出るまでほったらかしていたらもう元に戻れないレベルに進行してしまいます。自分の血圧というものを今すぐ見直してみましょう。早朝安静時に低くても安心はできません。一日中ぼーっとして生きている訳ではありません。これで昼間の仕事中は180mmHgなどという人はザラにいます。かく云うわたしもその一人でした。仮面高血圧といわれるこうした血圧変動は、ずっと高値で野放しの高血圧の人と同じ脳卒中率ですし、日ごろを知らない分だけ危険だと云われています。この変動幅が大きい人の方が脳卒中で亡くなる率が高いのだそうです。

 

 

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ステージA

夏の頃に、心臓リハビリの研究会に参加したときに初めて聞いた『ステージA』と云うことば。心不全の程度を表すものでAからDまであるのだそうな。「ACCF/AHAの⼼不全ステージ分類」というもので、わたしが臨床にいた頃に教わった心不全分類の「NYHA心機能分類(I度からIV度)」とはまったく別の概念です。

●ステージA:<高リスク>高血圧、糖尿病、肥満など心不全に繋がるリスクがあるものの、心臓の病気や心不全症状がない場合。
●ステージB:心臓の病気があるものの、心不全症状がない場合。
●ステージC:心臓の病気があり、むくみや息切れなど心不全症状も現れている場合。治療に反応する状態。
●ステージD:治療しても日常的な身体活動が制限される状態が続く場合。さまざまなお薬を使っても治りにくい、末期心不全の段階です。

と分類されます。怖いのはステージは進む方向にしか行かないことです。心不全などというモノ自体が全く他人事のように思っている人も多いでしょうが、決してそんなことはありません。自覚症状がないままに進行していく病気として現代病の中では最も厄介なものの一つに挙げられています。「健診で、心電図やレントゲンや診察で何も云われていないし息切れや動悸も経験していないから全然無縁のもの」と思っている人は少なくないでしょうが、このステージ分類でお分かりのように、ステージAは単なる生活習慣病です。これが心不全の入り口でありここから進む方向しかないということは、高血圧や糖尿病を野放しにしていてはならない!と云うことに他なりません。わたしが循環器内科で治療していた頃は「高血圧や糖尿病は動脈硬化を勧めて突然心筋梗塞や動脈解離を起こすから怖い」と云うのが主流で、「ほったらかしていると最後は心不全になるぞ」とは知ってはいましたが、『高血圧性心臓病』などというモノは現実には大した問題ではないと考えられていました。今はそうではありません。むかしは心不全が収縮障害によるもの(HFrEF)という概念だったのに、その前に拡張障害が引き金になる(HFpEF)のだと云うことが分かってきたからだと思われます。

つまりは、『甘く見るなかれ、高血圧・糖尿病』ということであります。

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直接云ってください。

「判定を変更するときは赤ボールペンで修正して画面も書き直すということになっているのに、先生方の中にどうしてもしていただけない方が一部居ます。前もお願いしたのですができていません。もう一度確認して、決められた通りにするようにお願いします」

先日、ミーティングで保健師さんからそんな注意がありました。こういうことはこれまでにも何度かありました。「どうせ特定の人の仕業なのだから、その人に直接云った方が効果があるんじゃないのか?」と思うのだけれど、「それでは角が立つ」と云うのです。間接的に全員に忠告することで当事者が気付いて直してくれればいいだけだから、と。でも、それでは多分良くならないと思います。だって、当事者は自分のことだと思ってない可能性が高いからです。もしかしたら、その当事者がわたしかもしれないけど、わたし自身は「自分はちゃんとしている」と思い込んでいますから、「だれなんだろうな?」などと暢気に思うことでしょう。

そういう『行間を読む』やり方はいかにも日本人ぽいやり方ですが、でも絶対に当事者に直接話した方がお互いのためだと思いますけどね。むかしからこういうことの繰り返しだから、埒があかないでしょう、多分。まあ、正職員でなくなっているわたしにはどうでもいいことですけど。

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大腸がん検診

大腸がん検査は40代から受けると効果が大きい

 ”50歳ではなく40代から大腸がん検査を受けるのは有益だという、大規模な調査結果が発表された。大腸がん検診は、大腸がんによる死亡リスクを最大で45%減少する効果があることも示されている。「大腸がんのスクリーニング検査と大腸内視鏡検査を受けないでいると、リスクは大幅に膨れ上がります」と、研究者は指摘している。大腸がんは日本でも、食生活の欧米化、肥満、アルコールのとりすぎ、運動不足などを背景に増えており、死亡数は肺がんに続き2番目に多く、女性ではもっとも多いがんだ。”(保健指導リソースガイド2024年10月28日公開)

三重県に住む4つ違いの実姉が直腸がんの手術を受けたのは熊本地震の年のことでした。旦那の会社の家族健診を受けられるのにずっと無視し続け、何となく便通異常はあったけれどほったらかしていて、やっと重い腰を上げた時には進行がんになっていました。幸い手術を受けることができて人工肛門も免れたそうではありますが、いまだに排便の不具合が続いています。「もっと前に検査しておけば」と義兄が云う度に彼女はとてもイヤな顔をします。昨年の春にはわたしも大腸ポリープの切除術を受けました。幸い悪性ではありませんでした。毎年の便検査で潜血検査が陽性になったことは一度もありません。それでも、小さなポリープが散在しているので時々大腸内視鏡検査やCT検査をオプションで受けるようにしていて、前回はそれが大きくなっているのが確認されたから治療の運びになった次第です。

日本の検診は世界でも最も先進的です。大腸内視鏡検査を定期的に受けるのはさすがに賛否両論ありましょうが、毎年の便潜血検査(企業検診では必須項目になっています)を受ける人は多いはず。ところが、それが陽性でもなかなか重い腰を上げません。大腸検査というのが怖いのか恥ずかしいのか・・・検査の日が便秘だったから、便が硬かったから、あるいは痔核があってよく出血するから・・・とにかく検査を免れるための理由付けをいろいろ思いつき、「多分大丈夫だ」と自分に云って聞かせるようです。そのままほったらかして翌年の便検査が陰性だったから「ほーら大丈夫だった」と胸を撫で下ろす人が少なくないみたい。「あのときちゃんと調べておけばこんなに進行する前に処置できたのに」となる人を何人も診てきているわたしたちにとっては危なっかしい綱渡りですけれど。もっとも、便潜血陽性だから一大決心をして全大腸内視鏡検査を受けたのにまったく異常がなかったと云う人の方がたぶん多いはずです。そんな人が数年後にまた陽性になっても「あの時大丈夫だったから」と云って受けないと今度は別物だったと云う話もよく聞きます。もはや数年前の検査結果は”過去の思い出”だと思っておいた方がいいでしょう。

『若い人ほど、大腸検査を!』 予防医療に従事する者の切実な想いです。
 

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