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タンパク質のはなし

かなり前に購入していて読む余裕のなかった雑誌『Tarzan』888号(Snow Manの佐久間くんが表紙のやつ)をやっと読むことができました。

現代人は今、未曾有のタンパク質不足(戦後レベルの低水準)だ!という内容の特集号です。これだけ世の中「タンパク質が大切」「ダイエットにはタンパク質」と叫ばれている中で、むしろタンパク質信者が多すぎて弊害になる傾向にあると思い込んでいたので、とても意外でした。記事によると、タンパク質不足になっている原因は、
1.ひと手間かけないと食べられないものが多いから面倒くさい。おにぎりやパンで腹を満たす方が簡単。
2.景気が悪くなると栄養状態が悪化し、安くて満腹感を得やすい炭水化物の比率が上がる傾向。食材の値上げラッシュの中ではコスパ重視になりがち。
3.朝食欠食率が高く、5人に1人はまっとうな朝食を食べていない(注:それでなくても古来から日本人の朝食にはタンパク質が少ないと云われてきています)。
4.専業主婦が調理をしていた高度成長期と違って共働きになってから料理を作る”主婦”にきちんと料理を作る時間がなくなってきた。
5.24時間営業のコンビニだらけでいつでも食べ物にありつけるから、かえって家でのきちんとした食事をしなくても簡単で口においしい炭水化物を買って食うようになってきた。
6.タンパク質は意図的に”摂る”と決めないとなかなか摂れない栄養素で、女性はダイエットのために肉や魚や糖質を避けて生野菜と豆類に偏り、男性の好物はタンパク質ではなく糖質。だから、不足する。

というものだそうです。半分屁理屈ぽいところもありますが、なるほどと思うところもあり。わたしたち予防医療の立場では、「健康のために良質のタンパク質を積極的に取りましょう!」という反面で、高齢者のタンパク質の摂り方に注意を払う必要があります。タンパク質が腎臓に負担をかけるから、その一方でタンパク質を摂らないと筋肉からエネルギーをえぐり取られてしまうから、その摂り方の指導が若い人たちより複雑だからです。歳を取れば取るだけ筋肉のタンパク合成効率は落ちてきて、エネルギー源としてのタンパク質は使用直前に摂取したモノしか通用しなります。「前の晩にたらふくごちそうを食っても翌朝の活力にはならない」ということをいつも現場で説明しているわたしです。朝のタンパク質摂取は夜の睡眠の質を上げる(必須アミノ酸のトリプトファンを朝摂取すると日中にセロトニンに変換され、夜にはメラトニンに変換される)効果もあり、時間栄養学的には朝タンパクが重要なのだそう(わたしは20年来朝はR-1と卵焼き2切れしか食いませんけど)。 

 

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