心と体

女子マネの死

女子マネ死亡…AEDを巡る論争に言いたいこと

高校の野球部の女子マネージャーが心室細動で急死した事故。監督がAEDを使わなかったことに論点が集中していきそうなこの事故で、わたしも薬師寺先生(岸和田徳洲会病院救命救急センター)と同じような意見を持ちました。AEDを使わなかったら死んだ、使っていたら生きていたかもしれない・・・この空気は本当に怖いものです。そう思います。わたしたちも当然AED装着の講習や実習は何度も受けました(病院の救急現場では電気ショックの正式な器械があるのでAEDを持ち出す機会はまずありません)が、それでも「だれかAEDを持ってきてください」と声を上げる勇気はないかもしれません。

第一、目の前に知り合いの若いお嬢さん(男性やお年寄りではなくて)が倒れていてまだ呼吸をしている時、公衆の面前で彼女の着ている服を脱がせて胸をあらわにさせてパッドを貼る行為をするのは、実際にその場に立ったら相当の勇気が要るのではないかと想像します。おそらく、わたしがその場に直面していたとしても、救急車が到着するまでにすることは心臓マッサージだけだったのではないかと思います。心臓マッサージだったら、服の上からでも行えますし、何度もやったことがあるので(効果のほどはAEDに劣るとしても)確実にやれる自信はあります。家で突然意識を失った家族を見て、救急車を要請したとして、そのままおろおろ周りで見ているだけだったために命を落とした人は数多くいます、家にはAEDはありません。相手は身内です。躊躇することなく心臓マッサージをしてもらいたい。だからこそ、むしろ世間の皆さんにはAED以外の蘇生術をしっかりとマスターしてほしい。今回の事故でさらにその思いを強くしました。

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毎日、味噌汁を飲もう!

「味噌」に血圧の上昇を抑える効果 日本型の食事スタイルを再評価

広島大学の研究グループは、塩分が多いということで敬遠されがちだった日本のソールフードの『味噌』の効果を検討し、味噌には、血圧の上昇を抑え、脳卒中や心筋梗塞などの予防効果が期待されることを報告しました。その他、味噌の持つ胃がんや肺腺がん、大腸がん、肝臓腫瘍、乳がんなどへの予防効果も報告されています。

「日本人は食生活で塩分を多く摂取しているが、心筋梗塞などが少なく、長生きしていることは海外でも関心を集めている。味噌には塩分の影響を緩和する物質が含まれており、熟成味噌は特にその効果が強いと考えられている」と書かれていましたが、とにかく、塩分が含まれる味噌を多く食べても血圧が上昇しないことを確認できたのは大いなる成果だと感じました。研究グループは、わざわざ食塩感受性の高いラットを用いて検討しましたが、それでも「味噌を与えると、同等量の塩分を摂取していても血圧は上昇しないことが明らかになった」という。なんかすごいことではないですか。これはつまり、「味噌には血圧上昇を抑制する効能があること」ということ。

味噌汁を食べましょう。味噌のエキスを使ったクスリやサプリを開発しようとするのではなく、素直に味噌食品を食いましょう。味噌田楽や鯖の味噌煮などなど・・・酒が進みますなあ。で、これって、『インスタントみそ汁』でも、その効果は有りなのかしら? そこのところ、誰か教えてください。

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年相応の睡眠時間

先日、Medical Tribuneの記事で、久しぶりに内山真先生の談話記事を読みました。

生活指導で年相応の睡眠時間を~高齢者不眠の診療

内山先生の、「”夜よく眠れない”だけでは不眠症とはいえない。夜眠れないために日中調子が悪い状態が3ヶ月続いた場合を不眠症と診断する」というのは、大変よくわかります。何を隠そう、わたしの睡眠事情はずっとよろしくありません。以前に比べたら、極力うたた寝をしなくしましたし、眠くなったら早々にベッドに入るようにしていますが、何時に寝ようが夕飯がどんなであろうが、夜中に3回は小便に起きます。5回くらい起きることもあります。でも、たまに眠くてたまらない朝もありますが、総じて朝6時にはいつもきちんと目が覚めますし、爽快です。昼前(検査の読影などやっている時)に強烈に眠くなることも時々ありますが、5分くらい仮眠を取れば問題ありません。妻に云わせると、わたしのは病気で、いわゆる過活動膀胱(子どもなら夜尿症の類)だというのですが、少なくともわたしの場合は『不眠症』ではありません。

不眠には、「なかなか寝付けない(入眠困難)」「何度も目覚める(睡眠維持困難)」「早朝に目覚める(早期覚醒)」「熟眠感がない(熟眠困難)」などがあるそうですが、まあどれもわたしにはあります。年寄りなもので睡眠も理論通りにはいきません。それでも、寝れる時に寝て、眠れなくても眠くなった時に短時間の仮眠をしたり、翌日には嫌でも爆睡したりするわたしのは、元気な年寄りの部類だと考えております。

内山先生の紹介された『健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~』を最後にご紹介しておきます。睡眠の考え方も捉え方もかなり変わってきました。生活習慣病予防のためには睡眠の質も時間もとても大切ではあるのですが、睡眠は理屈ではない。眠れないことで悩んでいるならぜひ専門医へ。自分の睡眠パターンが教科書通りでないとしても苦になってないなら気にしない。それが、わたしの考え方です。

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赤コーラと黒コーラ

「たくさん食べたいから代替甘味料を使用するという考え方と、適量だけど砂糖を使用したものを食べるという考え方があれば、私は後者の方を勧めます」

配信されてきたスローカロリー研究会の記事『甘みを上手に取り入れストレス緩和を』で管理栄養士の柴崎 千絵里先生がおっしゃるこのことばは、とても大事だと思います。代替甘味料を使ったゼロカロリー食材は、「血糖値があがらないから甘いものをいくらでも食べられるだろう」と本人も周りの者も思いがちですが、血糖値が上がらないと満腹中枢を刺激されず、満足感を得られない中途半端な食べ方になることは必至。そこのところをきちんと心得ておく必要があります。『甘いものが好き』な人が甘いものを食べてストレス発散できるのは、血糖値が上がるからであって、甘ければいいというものではありません。なのに、誰かに”砂糖を摂る罪悪感”をアタマに焼き付けられているのが問題。糖尿病の予防や治療は「甘いものを食べるのがいけない」のではなく、「甘いものを上手く食べる」ことが重要なのだということ、糖代謝異常の受診者さんには毎回話しているのですが、それでも「砂糖は摂らないに越したことはない」という想いを払拭できないようなのです。がまんは、健康の最大の敵ですのに。

我が家ももう長いこと黒コーラ(ノンカロリーコーラ)ばかり買います。わかいころはコーラなんて絶対飲みませんでしたが、歳とともに炭酸水に魅力を感じ始めてしまって・・・。「赤コーラはカロリーがあるから」と、手を出すのに二の足を踏んでいる(甘すぎて気持ち悪くなります)のですが、炎天下で大汗をかいた時に飲むのなら、本当はノンカロリーよりカロリーが十分ある方が良いのではないかしら。スポーツドリンクにも最近はノンカロリーが多いけれど、運動中にエネルギー補給をしなければならない時にノンカロリー飲んでも、何の足しにもなりません。お茶代わりに飲むのでなければ、カラダに毒な人工甘味料を摂るより真っ当なエネルギー源を摂った方がはるかに健康的だと思います。

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スマホで脳トレ

フェイスブックとかLINEとか、とかく世の中SNSの時代。物静かで口では何も喋らないのに、SNSの中では多弁で人気者の若者は少なくない昨今です。

御多分に洩れず、わたしもSNSはフル活用。むかしのメールの時代から、基本的にはレス百パーを心がけてきたわたしですが、さすがにLINEやフェイスブックは回転が早くてちょっと大変です。それでも、なんとか返事を考えるようにしています。「真面目か?」と云われそうですが、これがボケ防止になりそうな気がするのです(それが目的ではありませんが)。単なる受け答えではダメ。関西人が当たり前にボケを入れたりオチを考えたりするように、何かウイットに富んだ返事をしてみたい。しかもそれを、何気ない軽いタッチで返しておいて、相手に拍手を返されるくらいの力作に仕立て上げたい。

そんな感じなので、ひとしきり考えても何のオチも思いつかずに陳腐な返信するか、「いいね」だけのときは明らかにわたしの敗北宣言。たまにはお互いの暇に任せてチャットのような応戦をするのは望むところですが、最後のオチまで考えつかずに結局『いいね』で終わらせてしまう時もわたしの負け。

アタマは、使わないとすぐに退化するのであります(笑)

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かえって自粛?

週3~4回の飲酒で糖尿病リスクが最低にDanish Health Examination Survey 2007–2008

デンマークのデータではあるのだけれど、「糖尿病リスクの最も低い飲酒パターンは、男性は週14ドリンク〔飲酒しない群との比較、ハザード比(HR)0.57、95%CI 0.47~0.70〕、女性は週9ドリンク(同、HR 0.42、95%CI 0.35~0.51)。交絡因子および週間平均アルコール消費量調整後も、軽度~中等度の飲酒は糖尿病リスク低下と有意に関連しており、週1回の飲酒と比べて、週3~4回の飲酒では男性で27%(HR 0.73、95%CI 0.59~0.94)、女性で32%(同0.68、0.53~0.88)リスクが減少した」というとります。なお、「1ドリンク=10gと定義(日本も同基準)。ビール(5%) 500mL 缶1本はアルコール20g=2ドリンク、ワイン(12%)グラス1杯(120mL)はアルコール12g=1ドリンク」だそうな。

毎日500mlの缶ビールを1缶ずつ飲む人が、飲まない人よりリスクが低く、さらに毎日ではなく二日に一回1000mlずつ飲むのがベター!と書いてあるのですよね。

さすがに「そんなに飲んでも大丈夫なのか?」とかえって心配になります。いつもは「適量の酒は百薬の長!」とかいって嘯くけれど、具体的な値が思いの外少なくて、「こんな生殺しの量しか飲めないなら、もう考えても無駄!」とばかりにちゃぶ台ひっくり返す(笑)わたしですが、逆に「もっと飲んだ方が病気にならないよ」と勧められる方が、気持ち悪くてかえって自粛しそう。人の心(酒飲みの心情)は、まか不思議なものであります。

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数値にならないもの

「健康とは、数値ではなく、健やかだと感じる、「健康感」をもつことです。」

☆健康とは☆
健康とは自分で作るものです。たとえ目に見えない病を抱えていても、あるいは闘病中の病気が実際にあったとしても、いつも心が爽快で、日々生きがいをもって、前向きに生きている。心に健やかな健康感がある。そういう状態を、つまり健康と呼ぶのです。日野原重明

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先日大往生を遂げられた日野原先生のメッセージが、亡くなられた後も配信されてきます。

おかげさまで、この世界に入って15年以上、わたしはこの日野原先生のことばと同じ想いで仕事をしてくることができました。わたしたちがやろうとしていることは相手を健康な人生に導くこと。健康は検査値が正常になることではありません。ただ、厄介なことに、わたしたちがやっていることの成果は数値でしか評価されません。仕事をして給料をもらってそれで生活している以上、ちゃんと仕事をしているのかどうかの評価は何らかの数値を元に判断されるしかありません。「わたしは受診者の皆さんを健康にしてあげた」と主張したところで、あるいは受診者の皆さんが「先生のおかげで健康になりました」とアンケートに書き込んでいただいたところで、評価としては決して高くありません。それより、「メタボ該当者を指導して何パーセント改善させられた」というデータの方が格が上です。

つくづく、独立することなく、出世することなく、こっそり好きなことをさせてもらって自己満足した上に給料もらえる自分は、ラッキーこの上ないと思うております。それでも肩身の狭い思いをすることはよくあります。だからこそ、この日野原先生のことばは、わたしの大事な後ろ盾であります。

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正常値の落とし穴

先日紹介した『腎性低尿酸血症』・・・「運動後の背部痛や吐き気、原因不明の急性腎障害があった時にこの病気の可能性を考えるべき」だそうですが、救急現場や内科外来で採血検査をしても異常値が見つからない可能性があります。実は、運動をすると血中尿酸値は上昇することが多いのです(脱水の影響もあるし、抗酸化物質を合成するためかもしれません)。そうなると、日頃低尿酸血症の人は運動によって正常範囲内の値になる可能性があります。救急外来で初めて会う一見のお客さんの検査結果をざっと眺めても、絶対に尿酸の異常なんて考えるはずがありません。日常を知らないのですから。

白血球減少も同じです。白血球は細菌感染やウイルス感染の時に増加しますが、日頃から白血球数が低い人は増加するとかえって正常範囲内の値になったりします。体調が悪い、熱があるという訴えで外来を受診しても、採血結果に異常がないなら”原因不明”となりかねない。

こんなこと、日頃から自分の値を知っていれば問題ないではないか、とわたしたちのように健診や人間ドックに従事している医療者はすぐに考えてしまいます。でも、一般の方は知らないか意識していない方が普通だと思っておかないといけません。健診なんて滅多に受けない人の方が多いし、住民健診や企業の簡単な健診では尿酸なんて調べないかもしれない。白血球は余程の低値で精密検査の指示でも出ない限り気にしてはいないでしょう。軽度異常や経過観察などの判定は『特に異常なし』だと捉えるのが普通・・・健診をする側とされる側のその温度差があるからこそ、数値の持つ意味の重要性を日頃からしっかりと教えなければならないと痛感する次第です。

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「やせなきゃいけませんよね?」

「やせなきゃいけませんよね?」

人間ドック受診者のみんながみんな、こう云うのですよ。どうしてなのでしょう? 一体いつからこうなったのでしょう? おそらく、医療従事者や保健師さんやテレビコメンテーターやあるいは健康商品販売のメーカーやから常に刷り込まれてきた結果、洗脳されているのだという印象です。

なぜ、「やせなければいけない」と思うのか? やせないと健康に悪いのか?というか、やせたら健康になるのか? 「やせたら何もかもがよくなりますから、とにかくやせましょう!」という保健指導をしている健診施設があると聞いています。でもそれは違う。努力して生活改善に取り組んだ結果として、メタボのお腹が小さくなって体重が減ることはあっても、無意味にダイエットしても良くならないものは良くならないし、やせる必要のない人がやせたらかえって健康を害することもあるということ、もっとあからさまに云ってほしい。世の中、やせた人が勝者で、やせられなかった人が敗者、という構図こそが正義のように云うもんだから変なことになるのだ!

「出っ張ったお腹がカッコ悪いから」とか、「モテたいから」とか、「娘に嫌われるから」とか云う理由でやせるのは全然問題ないのです。もちろん、目標を『やせること』にしてもなかなか達成できないのだけれど、目標を『やせること』にしないとなかなかモチベーションが維持できないし、『やせること』以外を 目標に掲げると、なんか逃げた感じ、姑息な感じになるのも事実です。

目標は何でもいいのだけれど、「ただやせたらいい」というわけではないことはお忘れなきように。

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常識だと勘違い(4)コグニサイズ

「認知症予防には運動、特に有酸素運動が有効である」・・・これは揺るぎのない事実として一般社会でも常識となって来ていると思います。単なる認知症一般だけではなく、Alzheimer病などの具体的な病気にも有酸素運動が有効であることは証明されています。運動習慣があると記憶中枢である海馬が大きくなって記憶機能が改善するとか、Alzheimer病の主因をなすアミロイドβの集積が少なくなることなどが云われています。 「運動すると認知症が予防できる。でも人間には運動欲がなく、しなくていいなら動きたくないというのが常。つまり、人間は面倒くさくなったときから歳を取る」と、わたしも人間ドックの説明時には何度も叱咤激励をしています。

ところが、この運動による認知機能低下予防効果は、実は運動だけではそんなに強くないのだそうです。運動と一緒にアタマを使う(アタマを使いながら運動する)とか、他の人とのコミュニケーションをはかりながら運動するとか、そういう複合的な組み合わせが必要なのだと。これを実現させるのが『コグニサイズ』です。簡単な計算をしながらステップ踏みをしたり、となりの人としりとりをしながら運動をする、などのプログラム。

認知症予防のために運動したり意味のない計算をしたりするのは、虚しいことで、レクレーション的に楽しみながら運動をする教室の名前がきっと『認知症予防教室』になるだろうと考えるとなんか癪に障るわたしですが、誰とも話さず黙々と軍隊の行軍のような運動をしても脳は歳を取っていくのだとしたら、やっぱり仲間や夫婦で楽しく会話しながら散歩するのが人生にとって一番良い方法なのだろうことは理解できます。

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