心と体

週30分?

体重減少には週何分くらいの有酸素運動が必要か

ダイエットではどのくらいの時間、有酸素運動をすれば痩せることができるだろうか。この疑問について、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの公衆衛生学部疫学・生物統計学科のAhmad Jayedi氏らの研究グループは有酸素運動と脂肪率の指標との用量反応関係を明らかにするために文献の系統的レビューと用量反応のメタ解析を行った。その結果、週30分の有酸素運動は、成人の体重または肥満者の体重、ウエスト周囲径および体脂肪値の緩やかな減少と関連していることが明らかになった。この結果はJAMA Network Open誌2024年12月26日号に掲載された。”(Care Net 2025/02/07公開)

「週30分の有酸素運動への取り組みは、成人の過体重または肥満者における体重、ウエスト周囲径および体脂肪測定の緩やかな減少と関連していた。その一方で、臨床的に著明な減少を達成するためには、中等度以上の強度で週150分を超える有酸素運動が必要かもしれない」

この手の報告は何度も定期的になされますから、本当に『人間には運動欲という”欲”はない』というのは真理なのでしょう。つまり、「動かなくても良いのならできるだけ動きたくないけれど、動かないと支障を来すからやむを得ず動くだけだ」というのが”動物”の本音なのだと云う、何とも不思議なパラドクス。運動以外のこと(飲み食いや睡眠やストレスなど)を十分加味しているわけではないけれど、週30分の有酸素運動でも効果があるというのだから一日5分だけエクササイズすれば良いというか、週末に30分の散歩をすれば良いということ。そんな簡単なことなら、現代社会で生活している人間なら皆が皆クリアする条件なのではありませんか? でも、多くの人がダメなわけじゃん! ダイエットどころかむしろ増えていくわけでしょ。運動を始める・続ける・楽しむのきっかけ作りにはなるけれど、これだけでは結局何かが決定的に足りないのだということも判明した報告のように思えます。
 

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大腸内視鏡検査無償化

大腸がん内視鏡検査、熊本市が無償化検討 実現なら全国初 50代後半対象に25年度から

”日本人で一番多いがんである大腸がんの早期発見・治療を目的に、熊本市が2025年度から、50代後半の市民を対象に大腸内視鏡検査の無償化を検討していることが4日、分かった。大腸がんは診断されて5年後の生存率が7割超と比較的高く、早期発見・治療が死亡率の抑制につながると判断した。市によると、大腸の内視鏡検査の無償化は全国の自治体で初めて。関連経費を一般会計当初予算案に盛り込み、17日開会の市議会定例会に提出する方向で調整している。”(2025年2月5日 (水) 熊本日日新聞)

この大英断には拍手を送りましょう。さすがは、人間ドックに造詣の深い市長さんだ。たしかに大腸がんは大腸ファイバーをすれば早期発見に繋がります。健診では便潜血検査をするからそれで十分だという専門家も多いけれど、かく云うわたしは来週大腸ポリープ切除術をおけます。2年前に続いて2度目です。どちらも便潜血は陰性でした。前回は大腸CT検査、今回は大腸内視鏡検査で発見されましたが、どちらも便潜血は陰性でした。症状もなく、便潜血も正常の方が一度全大腸検査を受けると今の自分の腸の状況がわかります。今がキレイなら多分5年は大丈夫とか。さらに一度検査を受けると検査を受ける敷居が低くなります。日本の大腸検査を行う医療施設のレベルは総じて高いです。

”大西一史市長は10日の定例記者会見で「検査の効果は高い。ぜひ皆さんに受けていただきたい」と呼びかけた” 若すぎる年齢では異常がないのが当たり前だし、高齢者が頻回にこの検査を受けることは一概には薦めません。その点、『50歳代後半』というのは絶妙な対象年齢だと感心しました。

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認知症対策にカフェイン?

日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。”(Care Net 2025/01/30公開)

過日、AI認知機能検査のデモ検査を受けて、海馬が年齢平均の正常下限にあると判定されたわたしとしては、認知機能を保持できるモノがあるなら(無料で)極力取り入れたいと思うところ。この報告によると、
●毎日2〜3杯の緑茶を摂取する人(特に男性)は、認知機能低下リスクの有意な減少(=認知機能保護効果)が認められた。しかし4杯以上の摂取で有意差は消失した。
●高齢者では、毎日1杯以上のコーヒー摂取により認知機能低下リスクの有意な減少が確認された。

つまり、朝1杯のコーヒーを飲むか、毎食時に緑茶を飲むかするのがわたしにとっての得策だということで良いのでしょうか。『緑茶』としか書いていないのですがこれは別に急須に入れた温かいお茶でなくても綾鷹のようなペットボトルのお茶でも効果は同じなのでしょうか(コーヒーはさすがにホットコーヒーでしょうけれど)。というのも、わたしは若い頃からお茶は冷たいのが好きで、なかなか温かいお茶を飲む習慣がないのです。
 

 

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コーヒーは朝飲むべし?

午前のコーヒー摂取が死亡リスク低下と関連

 ”米・Tulane UniversityのXuan Wang氏らは、米国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを用いて米国成人のコーヒー摂取のパターンを午前摂取型と終日摂取型に分類し、全死亡、心血管疾患(CVD)およびがんによる死亡リスクをコーヒー非摂取群と比較。その結果「午前摂取群では全死亡とCVD死のリスクが有意に低かったが、終日摂取群では非摂取群と有意差はなかった」とEur Heart J(2025年1月8日オンライン版)に報告した。”(Medical Tribune2025年1月14日公開)

コーヒーの健康に対する効果と逆効果については都度都度ここに書いてきたけれど、正直なところ自分があまり習慣的には飲まないのであまり系統だって覚えてはいません。、中等量のコーヒー摂取は2型糖尿病や心血管疾患、死亡リスクの低下と関連することが報告されており、米国の2015~20年の食事ガイドラインでは、健康的な食事パターンの一環として中等量のコーヒー摂取を推奨しているのだそうですが・・・。

そこで、午前4時~11時59分以外ではコーヒーをめったに飲まない人を午前摂取型、時間に関係なくコーヒーを飲む人を終日摂取型として比較検討したところ、午前摂取型が明らかに健康に良いと云うことがわかったらしいのですが、著者らによると、「①午後や夕方以降にコーヒーを摂取することでメラトニンのピーク産生量が約30%低下し、その結果、概日リズムが乱れる、②コーヒーによる健康ベネフィットはコーヒーに含まれる生理活性物質の抗酸化作用によるが、炎症促進性のサイトカインや炎症性マーカーにも概日パターンがあり午前中の値が高い。したがって、1日のコーヒー摂取量が同じでも抗炎症作用は午前中に摂取した場合の方が大きい」と考察しています。そう書いてあるからそうなのでしょうけれど、でも午前中だけ飲む人と午後だけ飲む人を比べたわけじゃないのですから、統計学的有意差の云々は別にして、要するに午前中に飲んだ方が良いというだけではいけないのかしら。もちろん、夜遅くに飲むデメリットはありそうだけど、昼下がりに飲んでも夕方飲んでも、午前中にさえ飲んでおけば問題ないように思うのですけど。ま、健康のために無理して飲む人は多くはない(好きだから飲む)のでしょうから、とりあえず朝からは飲んでおいた方がいいぞ、とだけ覚えておきましょうか。

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ナッツ食ってるよ

体にいいナッツ5種 がん予防や認知機能維持などに効果

ナッツ類にビタミンやミネラルが含まれていることはほとんどの人が知っているが、どんなふうに健康に良いかについてはどうだろうか。ナッツ類を取ることには、がんリスクの低下、骨の強化、血糖値の安定化による糖尿病リスクの低下などの効果がある。2019年に学術誌「Advances in Nutrition」に発表された研究によると、毎日28gのナッツ類を食べることで、心血管疾患のリスクが21%も下がるという。最も驚くべきは、ナッツ類はカロリーが高いにもかかわらず、適量の摂取であれば体重増加を促さないことかもしれない。
血圧を下げ、認知機能を向上させ、コレステロール値を下げ、さらには長寿にもつながる。米メイヨー・クリニックの登録栄養士であるキャサリン・ゼラツキー氏は、「食生活の質を向上させたい人には、ナッツをもっと食べることを勧めます」と言う。”(日経BP2025.1.8公開)

わかっているんですよ、そんなことは。で、落花生はナッツの仲間ではないことも知っているのですよ。最近、コストコでナッツのでっかい袋を買うのが習慣になっており、買った時からなくなるまではずっとナッツ三昧。でもやっぱり食い過ぎると胃はもたれますよ。ナッツごとの効果について本文からちょっとだけ転記しておきましょう(ピーナッツも仲間に入れてもらってるじゃーん)。

●アーモンド:食物線維、ビタミンE、ポリフェノール、カルシウム、リン
●ピスタチオ:ルルテイン(光によるダメージから目を守り、認知機能の低下から脳を守る)、ビタミンB6とB1(チアミン)、低カロリー
●ブラジルナッツ:セレン(甲状腺機能)、鉄
●ピーナッツ:タンパク質と葉酸、ナイアシン、ビタミンE
●クルミ:オメガ脂肪酸「脳と心臓の健康を高めるクルミは、栄養の宝庫です」
 

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飲み放題は危険というはなし

アルコール飲み放題が飲酒問題に及ぼす影響はどの程度か

国立国際医療研究センターの若林 真美氏らは、レストランやバーでのアルコール飲み放題と問題のあるアルコール消費パターンとの関連を調査した。BMJ Open誌2024年12月3日号の報告。”(Care Net2025/01/17公開)

その結果が、
●COVID-19パンデミック中に定額制のアルコール飲み放題を利用した人は、利用していない人と比較し、問題のある飲酒および過度な飲酒である可能性が高かった。
●定額制のアルコール飲み放題を利用した人は、危険な飲酒およびアルコール依存症疑いとの関連が認められた。
で、結論として、「全体として、定額制のアルコール飲み放題は、危険な飲酒やアルコール依存症疑いを含む、過度な飲酒や問題のある飲酒と関連していることが明らかとなった」とな。

金払っている以上元は取らねばなりませんし、たくさん飲むから定額制飲み放題を選ぶのだから、全くもって当たり前の結果ではありませんか。飲むほど高く付くのなら自制するのがアルコールでしょうよ。『定額制のアルコール飲み放題を利用してもしなくても結果に大差がなかった』という報告なのかと思って読んだのに残念・・・こんなこと考える時点でわたしのアル中危険要素ぷんぷんですけど。
 

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タンパク質のはなし

かなり前に購入していて読む余裕のなかった雑誌『Tarzan』888号(Snow Manの佐久間くんが表紙のやつ)をやっと読むことができました。

現代人は今、未曾有のタンパク質不足(戦後レベルの低水準)だ!という内容の特集号です。これだけ世の中「タンパク質が大切」「ダイエットにはタンパク質」と叫ばれている中で、むしろタンパク質信者が多すぎて弊害になる傾向にあると思い込んでいたので、とても意外でした。記事によると、タンパク質不足になっている原因は、
1.ひと手間かけないと食べられないものが多いから面倒くさい。おにぎりやパンで腹を満たす方が簡単。
2.景気が悪くなると栄養状態が悪化し、安くて満腹感を得やすい炭水化物の比率が上がる傾向。食材の値上げラッシュの中ではコスパ重視になりがち。
3.朝食欠食率が高く、5人に1人はまっとうな朝食を食べていない(注:それでなくても古来から日本人の朝食にはタンパク質が少ないと云われてきています)。
4.専業主婦が調理をしていた高度成長期と違って共働きになってから料理を作る”主婦”にきちんと料理を作る時間がなくなってきた。
5.24時間営業のコンビニだらけでいつでも食べ物にありつけるから、かえって家でのきちんとした食事をしなくても簡単で口においしい炭水化物を買って食うようになってきた。
6.タンパク質は意図的に”摂る”と決めないとなかなか摂れない栄養素で、女性はダイエットのために肉や魚や糖質を避けて生野菜と豆類に偏り、男性の好物はタンパク質ではなく糖質。だから、不足する。

というものだそうです。半分屁理屈ぽいところもありますが、なるほどと思うところもあり。わたしたち予防医療の立場では、「健康のために良質のタンパク質を積極的に取りましょう!」という反面で、高齢者のタンパク質の摂り方に注意を払う必要があります。タンパク質が腎臓に負担をかけるから、その一方でタンパク質を摂らないと筋肉からエネルギーをえぐり取られてしまうから、その摂り方の指導が若い人たちより複雑だからです。歳を取れば取るだけ筋肉のタンパク合成効率は落ちてきて、エネルギー源としてのタンパク質は使用直前に摂取したモノしか通用しなります。「前の晩にたらふくごちそうを食っても翌朝の活力にはならない」ということをいつも現場で説明しているわたしです。朝のタンパク質摂取は夜の睡眠の質を上げる(必須アミノ酸のトリプトファンを朝摂取すると日中にセロトニンに変換され、夜にはメラトニンに変換される)効果もあり、時間栄養学的には朝タンパクが重要なのだそう(わたしは20年来朝はR-1と卵焼き2切れしか食いませんけど)。 

 

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運動と脳活性

運動による脳の活性化は翌日まで続く

 ”運動による脳の機能に対する急性効果は、従来考えられていたよりも長く続く可能性を示唆するデータが報告された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMikaela Bloomberg氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」に12月10日掲載された。”(Care Net2025/01/14公開)

運動(といっても、早歩き、ダンス、階段を上がるなどの心拍数が上がる運動なのでそれなりに意識しないとできない身体活動ですが)で翌日まで脳が賦活化されているという結果は、認知機能の維持という点でも朗報です。わたしなんか毎日この程度の運動は続けていますが、そうなると累積効果で認知機能が良好に保てているモノと思っていいものでしょうか。もっとも、”前夜の睡眠時間が6時間以上の場合、6時間未満と比較してエピソード記憶のスコアが有意に高く、前夜のレム睡眠が30分長いごとに注意力スコアが有意に高く、徐波睡眠が30分長いごとにエピソード記憶スコアが高い”というデータも書かれていて、毎晩5時間くらいしか睡眠できていないわたしは、そっちの方でマイナス因子になっているかもしれません。

「運動は脳への血流を増加させ、さまざまな認知機能をサポートする神経伝達物質の放出を刺激することで、脳を活性化させることが知られている。神経伝達物質に対する影響は運動後少なくとも数時間は持続することが報告されているが、運動に伴う他の影響は、より長期間持続するのではないか」”というのがこの現象のメカニズムとして考察されていた様です。

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『ステージA(前)』

定期発行される機関誌の冬号が発行されました。掲載しているわたしのコラムを転載します。今回は高血圧のはなし。2回に分けて掲載してもらうことにしました。甘く見てはいけない高血圧と心不全の関係のはなしです。

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ステージA(前)

「血圧130を超えたら、専門家に相談だ!」

そんなテレビCMを見たことがあるでしょう。これをネット検索すると「大げさだ」とか「こんな広告戦略に惑わされるな!」などといった批判ばかり並んでいますから、心配になって調べた人は「良かった」と胸を撫で下ろしているかもしれません。でもこれ、決して間違いではありません。

『血圧』とは“心臓から送り出される血流が血管の壁を押す力”です。血圧130mmHgとはどれほどの力なのか? それは、水銀(Hg)の柱を130mm=13cm押し上げる力のことです。昔は血圧を水銀柱の血圧計で測っていたからこういう単位なのですが、水銀が使われなくなっても水銀柱を基準にし続けているというのも可笑しなものです。水銀は水より13.6倍重いから、これを水柱に置き換えると130×13.6=1768(mm)、つまり"水を177cmの高さまで押し上げる力"。血液の比重が1.05ですからそれを血液に換算すると約168cmです。高血圧の基準である140mmHgなら約180cmの大男の身長の高さまで血液を吹き上げる力ということになります。そんな強い圧力が全身の動脈の壁にまんべんなくかかり続けているわけですし、その圧力と同じ力が心臓に向かって押し返されるのですから、ものすごいことが体内で粛々と行われていることに驚かされます。

若いうちからこんな力を毎拍動ごとに受け止めている動脈壁には感謝しかありません。血圧が原因で心電図の変化が出てきたり息切れ・動悸症状が出始めたりしたら、それはかなり長い間の負担のなれの果てだということがお分かりでしょう。自覚症状が出るまでほったらかしたら元に戻れないレベルに進行しているかもしれません。自分の血圧を今すぐ見直してみてください。朝の安静時に低くても安心はできません。一日中ぼーっとした人生を送ってはいませんから、仕事中だけ緊張して180mmHg以上になる人などざらにいます(かく言う私もその一人でした)。仮面高血圧といわれるこうした血圧変動は、ずっと高値のまま野放しの高血圧の人と同じ脳卒中発症率ですが日ごろを知らない分だけ危険だと言われています。この変動幅が大きいほど脳卒中で亡くなる率が高いことも分かっています。

新年早々から脅すようなことを書きますが、実は今高血圧が問題になっている理由は、脳卒中や心筋梗塞や動脈解離といった急性の合併症のためではなく、真綿を絞めるように静かに襲ってくる“心不全”が急増している原因のひとつだからです。症状がなくても、高血圧症は『ステージA』という心不全の分類に入っているのです。(次号に続く)

 

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「医学誤情報」

想像以上の大惨事になったロサンゼルスの山火事に『陰謀説』が出ていると先週某日の朝のニュースで伝えていましたが、何か違和感を感じます。新型コロナや地球温暖化ですら『陰謀説』もどきが蔓延していた(今でも続いていますが)にも関わらずテレビニュースではあえて取り上げないできたのに、今回はどうしたのでしょうか?

医療の現場では、もっと別次元での”誤情報”は後を絶ちません。昔の”都市伝説”の類いとは違って最近のモノは完全否定(完全確信)の世界なので、それを間違いだと正すことは不可能に近い気がしています。わたしたち凡人医者ではエビデンス的な反論も中途半端ですし、その信者は医療者の中にも少なからず存在していますから。そんな中、

「医学誤情報」への対処~診察室に誤情報を信じる患者が来たら

と題して、Medical Tribune(2025年1月10日公開)で論文解説が行われていました。出典は、「医学誤情報への対処法」(Ann Intern Med 2024年12月31日オンライン版)。細かいことを書くとまあまあ語弊が生じる可能性もあるので、書かれていることの一部だけ紹介します。客観的思考の良識ある医療者なら、納得はできそうに思います。

●医学誤情報を信じている相手に対して「科学的正論」を説明しても無意味。「誤情報」を信じさせているのは科学的「事実」ではなく、彼らの持つ隠れた「(強い)欲求」だから。
●その「欲求」は3つ~「聡明でありたい(comprehension:自分は事態を理解している)」「周囲を動かしたい(control:周囲に影響を及ぼしうる)」「つながっていたい(community:ある集団の一部である)」
●医学は「曖昧さ」を不可避的に内在するが、誤情報は対照的に「確信」に満ちている。したがって、「言い争い」は得策ではない。

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